言語聴覚士の試験を受けようと思っているので受験資格や合格率を知りたい
言語聴覚士の仕事内容や給料を知りたい
上記のようにこれから言語聴覚士の資格を取得するにあたり詳しく知りたい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、言語聴覚士の仕事内容や将来性、転職先、受験資格取得ルート、試験内容、合格率などを詳しく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
言語聴覚士とは
言語聴覚士とは通称ST(Speech-Language-Hearing Therapist)スピーチ・セラピストと呼ばれる国家資格の一つです。
「音が聞こえにくく言葉がわからない」「聞こえるけど声が出ない」「言葉をうまく伝えることができない」「食べるとむせてしまう」といった問題を抱えている人たちを、自分らしく生活できるように支援活動を行う仕事になります。
言語聴覚士は、1997年12月言語聴覚士法の制定に基づき付けられた名称になります。言語聴覚士の定義は、
音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう
とされており、1960年代から言語聴覚士のニーズが高まり、1971年には要請が開始されました。
言語聴覚士の仕事内容
生まれつき言葉の学習が難しい方、病気や障害で話したり聞いたり、食べ物の摂取が困難になった方などを支援をするのが言語聴覚士です。
以下のような方の機能回復を目指します。
- 失語症、高次脳機能障害、認知症
- 聴覚障害(難聴)
- 摂食・嚥下障害
上手に噛めない、上手く飲み込めないなど
- 脳性麻痺や口蓋裂に伴う発話の障害
- 自閉症、吃音
- 構音障害(発声・発音の障害)
声が出しづらい、声のかすれなど
- 言語発達の遅れや学習障害
言葉が出ない、ろれつが回らないなど
医師の指示のもと、幅広い年代の方を対象に障害や問題へ専門的にアプローチし、検査・評価を行いながら機能回復や維持、改善、向上させるための専門的な訓練、指導、助言などの援助を行います。
患者さんに寄り添いながら、本人やご家族の豊かな生活のための助言やサポートをします。
支援が必要な方への訓練(一部)
言語障害の訓練
言葉が出ない、うまく話せない、ろれつが回らない、話が理解できないなどの言語障害の方の検査・評価・訓練を行います。
言語障害は交通事故、認知症、脳梗塞などが原因で起こることが多く、そんな様々な患者さんの状態に応じて、専門的にアプローチしながら対処法を見出し、機能訓練やリハビリを実施します。
声帯、唇、舌などの運動機能の回復だけではなく、表現や仕草などの非言語コミュニケーションを使って意思疎通を図ったりする方法など、コミュニケーション能力の向上を目指します。
聴覚障害の訓練
音が聞こえない、聞こえにくいなどの聴覚障害の方の訓練を行います。
聴覚障害は、生まれつきの場合、病気、事故、加齢による場合などがあり、必要に応じて聴覚検査、聴力検査などを行い機能評価や訓練を実施していきます。医師のもと、補聴器や人工内耳のリハビリも行います。
嚥下障害の訓練
食べ物の飲み込みがうまくいかない、口からこぼれる、むせ込んだりするなどの方の訓練を行います。
嚥下障害は加齢、脳の障害などの原因があり、咀嚼や嚥下などの状態を観察し対処法を調べます。口腔ケア、嚥下体操、嚥下反射を高めるための機能訓練などの実施、食事を工夫するなどのアドバイスも行います。
小児言語の訓練
言葉の発達が遅れている子供の訓練を行います。文字の習得、コミュニケーションへの関心などを目指し、教育機関と連携しながら支援します。
高次脳機能障害の訓練
覚えられない、集中できない、物の使い方がわからない、忘れてしまうなどの方の訓練を行います。
脳の損傷により日常生活で悩んでいる方に対して検査・評価を行い、集中力や注意力を強化する訓練、メモを取って確認する習慣をつける、カードや積み木を使うなどして、指導や助言その他の援助もします。
言語聴覚士のメリット4つ
【メリット①】専門知識が身につく
言語聴覚士は、言語障害(失語症、構音障害)や聴覚障害などの訓練や指導を行うため、医療の現場で働くことが多いでしょう。
言葉に関わるコミュニケーションの問題だけではなく、摂食・嚥下の問題などの改善を目指しリハビリテーションも行いますので、実践的な知識や技術が必要になります。
病院勤務では、専門知識を活かしつつ医師や看護師など多種職と連携して患者さんに接するので、チーム医療も学ぶことができます。
【メリット②】将来性が高い
国家資格である言語聴覚士は、1997年から制度が始まった新しい職業ですが、昨今、生活習慣の乱れによって脳梗塞になったり、交通事故により脳が損傷する人が増えている傾向にあるため、言語聴覚士の需要は急速に伸びています。しかし全国的に職場や不足はまだまだ足りていないのが現状です。
高齢化社会が進み、摂食に関する疾患に問題を抱えた方に対する需要が急増しており、医療や福祉の現場では就職先に困ることは少ないでしょう。
日本は2025年に超高齢化社会を迎えると想定されていますので、今後、教育や福祉など多くの現場で必要性が高まりつつあり就職先や求人数が増加する可能性は高いといえます。
【メリット③】需要が増えている
言語聴覚士は、認知度の広がりに伴い需要が増しており、医療や福祉の現場の他にも、教育機関や児童関連施設などでの需要も増えてきています。
医療の現場でも活躍できる場は増えており、介護施設等でレクリエーションなどを任されることもあります。今後もニーズの高まりが予想されますので、常に新しい知識を取り入れて勉強していくことが大切です。
【メリット④】やりがいがある
言語聴覚士は、患者さんに寄り添い手助けする仕事なので、身近で変化を感じたり改善されていく姿を見ることで、大きな喜びややりがいを感じることができます。
患者さんや家族から直接感謝の言葉をもらえたりすることもあり、達成感や仕事のモチベーションが上がることも多いでしょう。様々な患者さんと接し信頼関係を築くことで、自身のスキルアップにもつながります。
言語聴覚士の就職先
言語聴覚士にはどのような働き先があるかというと、
- 医療機関(リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、小児科、口腔外科など)
- 難聴幼児通園施設
- 聴覚・言語障害者更生施設
- 重症心身障害児施設
- 保健所
- リハビリテーションセンター
- 介護老人保健施設
- 訪問介護ステーション
- 児童福祉施設
- 小学校・中学校(難聴学級)
- 補聴器メーカー
養成校を卒業した方の進路の大半は、医療機関が多く、過半数以上が学校の推薦により就職先が決定しています。言語聴覚士は慢性的な人手不足であるため就職先の心配は無用と言っていいでしょう。
また、医療や介護現場だけでなく、教育現場でも活躍が期待されており、一般企業の補聴器メーカーなどへ就職をされている方もいらっしゃいます。
参考 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士おすすめ転職サイトランキング
言語聴覚士の給料
言語聴覚士の資格を持っている人の給料は、だいたい月給が22万〜26万となっていて、年収にして300万円〜400万円となっており、非常勤の場合は、時給900円~1500円くらいが相場になっているようです。
給料 | 金額 |
年収 | 300万円〜400万円 |
月収 | 22万〜26万円 |
時給 | 900円~1500円 |
もちろん働く病院の規模や住んでいる地域によってかなり上下することになるので、あくまでだいたいの目安として考えてください。これ以上の給料を目指すなら管理職にまで進む必要があるでしょう。
言語聴覚士は現在人手が足りていない状況が続いているので、勤務先を変更すれば好待遇のところも見つけることができると思います。待遇や雇用形態も他の仕事同様にバラバラなので己にとって最も大切なのが何かを考えて就職するようにしてください。
言語聴覚士の受験資格・資格取得ルート
言語聴覚士の受験資格を得るためには以下の3通りのルートがあります。
- 高校を卒業 ▶ 大学を卒業
- 高校を卒業 ▶ 短期大学を卒業
- 高校を卒業 ▶ 専門学校等を卒業
言語聴覚士の学費例)
2年制の専修学校の場合 | |
学費 | 初年度納入金、入学金、受講料など 合わせて総額約250万円前後 |
総受講時間 | 全日制 約2350時間前後(臨床実習480hを含) |
1回あたりの 受講時間 |
90分×4回 |
4年制の専修学校の場合 | |
学費 | 初年度納入金、入学金、受講料など 合わせて総額約600万円前後 |
学校には昼間と夜間があり、別の業界からの転職を考えている人は夜間学校に通って資格取得を目指している人もいます。ですが、夜間学校でも実習は昼に行われることがよくあるため、昼の実習にはどうにかして出る必要があります。
言語聴覚士のカリキュラム
言語聴覚士の受講は大学や専修学校によって取得科目の内容は一部異なりますが、以下の3つに分類されます。
- 基礎科目
医療に従事する人間としてのマナーやコミュニケーション力、障害の理解、社会福祉を幅広く学びます。 - 専門基礎科目
人体の各器官の構造や機能などの知識を深め、医学、心理、言語、リハビリ―テーションなどを学び向上させます。 - 専門科目
言語聴覚士の専門講師から検査、評価、訓練、支援方法を学び知識を身につけます。グループ演習を行い、チームで取り組み実践力と経験を身につけ、地域医療に貢献できる力を養います。
1年次 | 言語聴覚士の専門分野の基礎を学びながら習得します。 仲間とコミュニケーションを通して豊かな人間性と教養を養います。 |
2年次 | 医学や科学、心理学に関する専門的な知識・技術を修得。 検査の練習などを通し当事者の生活環境の理解を深めます。 |
3年次 | 病院や教育現場にて当事者と対話をしながら 検査や評価の臨床実習をして実践修得を目指します。 |
4年次 | これまで学んだ言語聴覚士として総合的な実習を行い 4年間の集大成をします。 |
言語聴覚士の試験概要
言語聴覚士の国家試験の内容は以下になります。
申込受付月
令和3年12月10日(金曜日)までの消印
試験日
令和4年2月19日(土曜日)
試験会場
北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県及び福岡県
受験科目
- 基礎医学
- 臨床医学
- 臨床歯科医学
- 音声・言語・聴覚医学
- 心理学
- 音声・言語学
- 社会福祉・教育
- 言語聴覚障害学総論
- 失語・高次脳機能障害学
- 言語発達障害学
- 発声発語・嚥えん下障害学及び聴覚障害学
受験料
34,000円
試験方法
筆記試験
試験時間
午前・午後各2時間30分(午前100題・午後100題の計200題)
合格基準
配点を1問1点、合計200点満点とし、120点以上を合格とする。
合格率・受験者数・合格者数
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第23回 2021年 | 2,546人 | 1,766人 | 69.4% |
第22回 2020年 | 2,486人 | 1,626人 | 65.4% |
第21回 2019年 | 2,367人 | 1,630人 | 68.9% |
合格発表
令和4年3月25日(金曜日)午後2時に、厚生労働省ホームページの資格・試験情報のページ及び公益財団法人医療研修推進財団ホームページに、その受験地及び受験番号を掲載して発表。
お問い合わせ
〒105-0003 東京都港区西新橋1丁目6番11号 西新橋光和ビル7階
TEL:03(3501)6515