タオルを握るだけで血圧が下がるって本当なのかな?
このように
- ハンドグリップについて詳しく知りたい
- 高血圧で困っている
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、血圧サージとは、ハンドグリップ法とは、ハンドグリップの健康効果、ハンドグリップのやり方、ハンドグリップの時間・回数・期間・姿勢は?、ハンドグリップの注意点、ハンドグリップのメリット、ハンドグリップのデメリット、おすすめのハンドグリップグッズ、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
血圧サージとは
血圧が急激に変動する状態
ハンドグリップ法について解説する前に、ハンドグリップ法に関連することば、血圧サージについてご説明しましょう。
血圧サージとは医療用語ではなく、高血圧について取り上げたテレビ番組等から一般に知られるようになったことばです。
血管や臓器に大きなダメージを与え、病気のリスクを高めるといわれる「血圧が何かのタイミングで急激に変動する状態」を指します。
ストレスや生活習慣の乱れが危険のサイン
血圧は、普段起きて活動している時には上昇し、休息や睡眠時には低下するように、自律神経(交感神経と副交感神経)の働きで調整されています。
この生理的血圧変動は自然なことで、健康な人にも日常的にこのような血圧の変化があります。
しかし、ストレスや加齢のほか、飲酒・喫煙・肥満などを原因として、自律神経の働きが乱れたり、動脈硬化が進むことで、調整が上手くいかなくなり血圧が異常な変動を起こすことがあります。
他の要因と結びついて脳卒中などの原因となる、この危険な血圧変動が血圧サージと呼ばれています。
健康上のリスクを減らすためには、まず疾患の原因になるような生活習慣を改善することが求められますが、その他に自分でできる高血圧発症予防や軽症高血圧を改善する補完療法のひとつとして、ハンドグリップ法があります。
ハンドグリップ法とは
カナダの医師が考案
ハンドグリップ法とは、自分の全力の30%の握力を掛けることで、血圧を適正な値に下げることができるというもので、カナダ・ゲルフ大学の准教授・フィリップ・ミラー博士が考案しました。
【アメリカ】アメリカ心臓協会(2013)
患者支援団体であり、脳卒中研究等に関する世界的権威であるアメリカ心臓協会(AHA)が2011年~2016年に高血圧に関する約1000件の研究について調べたところ、適度な有酸素運動とハンドグリップ法に血圧を下げる効果があることがわかりました。
出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23608661
(血圧を下げるための代替アプローチ アメリカ心臓協会からの科学的声明)
このようにハンドグリップ法は血圧改善の補完療法として一定の医学的効果があることが認められています。
博士が考案したハンドグリップ法の手順
フィリップ・ミラー博士が考案したハンドグリップ法は、以下のような手順になります。
ハンドグリップ法のやり方
*手順
1・自分の最大の握力を計る。
2・最大握力の30%の握力で、2分握り1分休む。(左右2回ずつ行う)
頻度は1日おき、もしくは週3回ほどで可
Zona Plusを使用して行う
このハンドグリップ法を行う装置として、米国内ではZona Plusという商品も販売されています。
これは一般的な筋力アップなどを目的としているハンドグリップ用具や握力計と違い、心臓血管の健康を保つツールとして開発されたデジタル握力計です。
このようなデジタル握力計は日本国内では手に入りにくく、Amazonから購入するとしても約11万円程と高価なので、気軽に始められるというものでもありません。
そこで考案されたのがタオル1枚でできるハンドグリップ法・タオルグリップです。
なぜタオルを握るだけで血圧が下がる?
ではなぜ、タオルを握るだけで効果があるのでしょうか。
このタオルを使ったハンドグリップ法の効果は、もともとミラー博士が考案した握力計を使ったハンドグリップ法と同様に、握ることで筋肉が収縮して血流が一時的に減少したあと、力を緩めて血液が勢いよく流れることで内皮細胞から一酸化窒素が分泌され、その一酸化窒素の働きで血管が広げられ血圧が下がることによる、とされています。
重要な点は全力の30%の力で握るということですが、筒状に丸めたタオルを他の指と親指が付かない程度の力で握ると、自身の最大握力の20~30%ほどになることがわかり、タオルでのハンドグリップ法が考案されました。
ハンドグリップの健康効果
「ためしてガッテン」で検証されたハンドグリップ法
2014年3月放送のNHK「ためしてガッテン」では、タオルを使ったハンドグリップ法を試してもらい、その効果を検証しています。
ハンドグリップ法を高血圧に悩んでいる7名の男女に4週間行い、7人中1人には変化がなかったものの、6人は平均で13.6ポイント血圧が低下するという結果になりました。
一番大きく変化があった人では、最高血圧が185から152に下がり、最低血圧も132から111に低下しました。
また、血管の柔らかさを測定するFMDの値では、正常値の6%を大きく下回る1.3%という危険な数値だった1名が6.5%の正常値になりました。
FMDとは日本語で「血流依存性血管拡張反応」を意味し、血管内皮機能を評価するもので、血流が増大した時に血管内皮から一酸化窒素がどのくらい放出されているか、上腕動脈が拡張したパーセンテージで評価します。
FMD値は6%が正常の目安で、5%未満だと機能障害が疑われ、3%を下回るとリスクが高いとされます。
脳卒中・心筋梗塞・高血圧を軽減してくれる
動脈硬化などで血管が柔らかさを失っていると血管の拡張度は低く、一酸化窒素の産生も少なくなります。放出される一酸化窒素が多いほど、血管の内皮機能が正常で拡張度も高く血圧も適正な数値に安定すると考えられます。
ハンドグリップ法の適度な握力で手を握り、また緩めるという動作が一酸化窒素を放出させ、血管の拡張を進め、その結果血圧が下がる、というしくみから、FMDの値で効果を計ることができるのです。
脳卒中や心筋梗塞は、高血圧だけではなくいろいろな要因が重なって引き起こされるのですが、高めの血圧を下げることは、こうした疾患のリスクをある程度軽減します。
ハンドグリップのやり方
ステップ1
フェイスタオル1枚(縦30cm×横80cm程度)を用意します。
タオルを横に2回、縦に1回折り、端からやや緩く丸めていき、棒状にします。
ステップ2
次に丸めたタオルを片手で握ります。
「2分間握り1分間力を抜く」のを1回として、左右2回ずつ握ります。
ステップ3
ハンドグリップ法を始めたら、毎日の血圧を記録しておきます。
2週間程度記録した数値から平均値を出し、変化を評価します。4週間は続けて行います
ハンドグリップの時間・回数・期間・姿勢は?
時間
2分間握り1分間力を抜きましょう
回数
回数は1日おき週に3回程度でOK
期間
4週間(1ヶ月)を目安に続けます
姿勢
立つ・座るどちらの姿勢でもよく、握った手は心臓より下の位置に来るようにします
ハンドグリップの注意点
高血圧のほか、心臓などに持病があり治療を受けている人は、医師に相談してから始めてください。
握るときに息を止めないように、楽に呼吸をしながら行います。息を詰めて力を入れすぎると、めまいを起こしたり血圧が上がってしまうので注意しましょう。
高血圧の治療や投薬を受けている人は、ハンドグリップ法はあくまで補完療法と考え、医師に指示された投薬や治療は勝手に中断せず続けてください。
ハンドグリップのメリット
【メリット①】家で手軽にできる
場所を取らずその場ですぐにでき、難しい手順が無いので、誰でも手軽にできることがメリットです。
【メリット②】運動が苦手な方でもできる
血圧改善には有酸素運動も良いと言われますが、ジムなどに通う必要もあり、運動が苦手な人や体力がない人にはなかなか始められないでしょう。
その点ハンドグリップ法は、ただ手で握るだけなので、自宅で簡単に始められます。
【メリット③】1日短時間で効果が出る
長時間のトレーニングは必要なく、1回にかかる時間も10分程度と短時間でできるので、週に3回のハンドグリップ法を効果的とされる4週間続けるのも、他の運動に比べるとずっと手軽で続けやすいでしょう。
【メリット④】費用がかからない
高い器具を購入する必要がなく、家にあるタオル一枚でできるので、費用もかかりません。
ハンドグリップのデメリット
【デメリット①】1ヶ月ほど続ける必要がある
血圧を下げるための有酸素運動などと同じく、ハンドグリップ法もある程度長い期間続けなければ効果が上がりません。少なくとも4週間は継続する必要があります。
【デメリット②】効果には個人差がある
「ためしてガッテン」での検証でも変化が見られない人がありましたが、効果には個人差があるので、中には続けてもあまり改善しないという場合もあります。
【デメリット③】あくまで補完療法であること
ハンドグリップは、高血圧予防や軽症の高血圧患者に推奨されるもので、万能ではありません。
この方法だけですべての高血圧が解消されるわけではなく、生活習慣の改善や適切な検査や治療が必要な場合もあります。
おすすめのハンドグリップグッズ
タオルより使いやすく、価格も手ごろなハンドグリップグッズも販売されています。
eclipse ムニュッタ―
株式会社サンリキが販売している直径5cm長さ20cmほどのネット状の素材でできた筒型のハンドグリップグッズで、筒の中に好みのハンドタオル等を入れて使うことができます。
引っ張ると長さは30cmまで伸び、ハンドグリップ法以外にも筋力アップやストレッチ運動のトレーニングができるというものです。
価格は2000円程で、多数の通販サイトで販売されています。
ResultSport 握力エクササイズボール
英国発、熱可塑性エラストマーでできた丸型のハンドグリップグッズです。
5cm 2種類のエクササイズ2個セット(やわらかい・固い)です。密度-500kgのストレステストに合格しました。
凝り固まって痛む筋肉を解放し、柔軟性を高め、身体をリラックスさせるように特別に設計されています。
ボールは柔らかく触り心地が抜群でどんな形にしても形が元に戻ります。洗いやすく、石鹸で洗い、乾かせば繰り返し使えます。
おわりに
40代を過ぎると、適度な運動や健康な食事、良い睡眠など、心身のケアは若いころよりも大切になってきます。
毎日の習慣の積み重ねが、今後の健康寿命にも大きく関わってくるので、今は特に問題がないという方も、たばこやお酒など生活習慣の改善を少しずつ始めてみませんか。
血圧が気になり始めた方は、このハンドグリップ法をぜひ毎日のケアに取り入れてみることをおすすめします。