住宅改修(リフォーム)とは|料金・費用、メリット・デメリット、利用方法を解説

住宅改修(リフォーム) 公的介護保険

住宅改修(リフォーム)とは

住宅改修(リフォーム)とは、要支援や要介護認定を受けている65歳以上の高齢者がいる世帯で介護保険からの給付(支払い)を受けて住宅を改修工事することです。その目的は、バリアフリー化などにより住み慣れた自宅での生活を継続できるようにするものです。

どのようにすれば住宅改修を受けることが出来るのか、住宅改修の制度の概要、メリット・デメリットなどについて見ていきます。

介護リフォームで住みやすい我が家に

住宅改修(リフォーム)は、介護が必要な状態となっても出来る限り住み慣れた自宅での生活を送ることが出来るように介護保険から給付を受けて介護に適した住宅環境にリフォームするものです。

原則として一人が利用できるのは生涯で工事費20万円が限度となり、介護保険の負担割合に応じて1割から3割を負担して残りの7割から9割が支給されます。

介護保険の目的である自立支援に基づいた生活を送ることが出来るように、身体状況に適した住環境を整えて住みやすい我が家にすることを目指した制度になっています。

「償還払い」「受領委任払い」とは?

住宅改修(リフォーム)で介護保険から給付を受ける場合には、償還払いが原則です。

「償還払い」とは
利用者本人が住宅改修を依頼する事業者へ全額支払いを行い、後日市区町村に申請をして保険から9割(もしくは8割、7割)の支給を受ける(払ったものを償還(戻す)してもらう)方法のことです。
「受領委任払い」とは
利用者がはじめから自己負担分である1割(もしくは2割、3割)の支払いを事業者に行い、差額分は市区町村から事業者へ支払う方法をいいます。

受領委任払いの利点は、はじめに大きな金額を支払うことが難しい場合でも工事を行える点にあります。

しかし、受領委任払いについては市区町村によっては行っていない場合や、行っていても登録されている事業者しか適用できない場合があります。事前にケアマネジャーや市区町村の窓口に相談を行ってください。

市区町村でも補助制度はある?

住宅改修(リフォーム)には市区町村ごとに独自の補助制度を設けている場合もあります。

介護保険による住宅改修を利用するには、予め市区町村へ申請を行い、工事内容の確認を受けてから住宅改修を進める必要があります。

また、市区町村独自の補助制度についても原則として事前に申請が必要です。市区町村が独自に行う住宅改修補助制度を利用することにより改修費を抑えることが可能です。

介護保険と補助制度は併用できる?

介護保険による住宅改修(リフォーム)と市区町村による補助制度の併用は、市区町村により可能な場合もあります。市区町村により異なるため、詳しくはお住いの自治体や担当のケアマネジャーに確認をしてみるとよいでしょう。

例)東京都町田市
 浴槽の取り換えで介護保険の支給対象額20万円を超える場合に、支給対象額37万9千円を追加
参考町田市
例)岡山県倉敷市
住宅改造補助金(介護保険外)浴室、便所、洗面所、玄関、廊下、階段、台所、居室、アプローチを改造することにより、対象者の自立を促し、介護者の負担を軽減するための工事が対象となります。
参考倉敷市
例)京都府長岡京市
高齢者いきいき住まい改造助成で介護保険の限度額(20万円)を超える額のうち20万円以内が助成されます。
参考長岡京市

転居すると支給限度額はリセット

住宅改修(リフォーム)に介護保険を利用できるのは原則として一人1回と決められています。しかし、転居をした場合には支給限度額はリセットされて新たに住宅改修の給付を受けることが可能です。

また、「介護の必要の程度」が3段階以上上がった場合(要介護1から要介護4、要介護2から要介護5など)にも新たに介護保険から給付を受けることが出来ます。

リフォーム業者数

住宅改修は民間のリフォーム会社や工務店が行い、福祉用具を販売する事業所が住宅改修の部門を持っている場合もあります。また、簡易な改修の場合には「一人親方」といわれるような建設業者でも行うことができます。

出典 政府統計の総合窓口

総務省と経済産業省で行う、経済センサス活動調査を見ると建築リフォーム工事業者数は、2012年度に18,146社、2016年度には19,466社と増加していることが分かります。

また、国土交通省で行っている「住宅リフォーム事業者団体登録制度」に加盟している住宅改修(リフォーム)事業所は、2019年1月で9,702事業所となっており認定を受けている事業所を見ても多くの事業所があることが分かります。

参考 リフォーム産業新聞電子版

利用者数

介護保険を利用した住宅改修(リフォーム)の利用者数は平成28年度で46万3,710件、費用総額は458億454万円となっています。

要介護度別に見ると、平成28年度は要支援1.2で約18万件、要介護1が約10万件と要介護度が低い方の利用が多く、要介護度が高くなるに従い緩やかに減少しています。

平成28年度実績
要支援190,665
要支援290,631
要介護1100,502
要介護284,121
要介護351,036
要介護434,658
要介護512,097
合計463,710

出典 厚生労働省(平成28年度 介護保険事業状況報告(年報))

また住宅改修にかかる給付費では2006年で327億円、2010年で403億円、2014年で425億円と近年では毎年400億円を超える利用があり、その費用は緩やかに上昇しています。

参考 厚生労働省

リフォームの種類

介護保険を利用して住宅改修(リフォーム)をすることが出来る工事は決められたものに限られます。すべての住宅改修(リフォーム)が介護保険から支払いを受けられる訳ではありませんので注意が必要です。

手すりの取付け

手すりの取付け

廊下や階段、玄関、浴室、トイレなどの手すりを取り付けることができ、屋外の工事も対象になります。移動する導線に手すりを付けることにより安定して歩行をすることが可能となり、介護負担の軽減や自立した歩行の継続が可能となります。

なお、置型の手すりは住宅改修とはみなされませんので保険給付の対象外です。

段差の解消

段差の解消

居室や廊下、浴室や玄関などの床の段差の解消やスロープを設置する工事です。家の中の段差は転倒の危険や車椅子の移動の妨げになることもあるので、そのような段差の解消が在宅生活の継続に繋がります。

なお、介護保険の福祉用具貸与(レンタル)が利用できる移動式のスロープや電動の昇降機、福祉用具購入が利用できる浴室すのこなどは対象となりません。

滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更

床又は通路面の材料の変更

畳敷きの和室からフローリングや板の間へ変更することや、廊下や浴室、階段などの床を滑りにくい材質へ変更する工事が対象になります。車椅子での移動がしやすいようにすることや、転倒の予防のための工事が対象となります。

引き戸等への扉の取替え

引き戸等への扉の取替え

開き戸を引き戸やアコーディオンカーテンへ変えることや、開け閉めがしやすいドアノブへの変更が対象となります。開き戸の開閉でバランスを崩して転倒することを予防したり、麻痺で開閉が難しいドアノブを開閉しやすいものに変更する工事が対象となります。

洋式便器等への便器の取替え

洋式便器等への便器の取替え

和式便器から洋式便器への取替が対象となります。暖房便座や洗浄機能付き便座への取替も対象となります。洋式便器に改修することにより立ち上がりがしやすくなる利点があります。

なお、洋式便器から新しい洋式便器への改修は対象とはなりません。また、汲み取り式便器から洋式水洗便器に取り替える場合の、水洗化工事は対象となりません。

その他、上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

その他に、これまで見てきた工事に付随する工事が介護保険の住宅改修の対象となります。

  • 手すり工事のための壁の下地補強
  • スロープ設置の場合の転落防止柵
  • 床面の下地の補修
  • 扉の取り替えのための壁、柱の改修工事
  • 便器の取り替えのための給排水設備工事

住宅改修(リフォーム)にかかる料金・費用

介護保険から支給を受ける住宅改修(リフォーム)は、工事代金20万円までのうち自己負担割合に応じて1割から3割を負担し、残りを介護保険から支給してもらうことが可能です。

20万円を超えた部分については、全額自己負担となるため大掛かりな工事が必要な場合には自己負担が大きくなる場合もあります。

なお、家族内に複数の要介護者(要支援者)がいる場合にはそれぞれが制度を利用することが出来ますが、ひとつの工事には一人分の制度利用しか出来ません。

例えば、トイレ改修工事が20万円を超えたからと言って2人で按分することは出来ません。しかし、便器の取り換え費用はご主人の介護保険、手すりの取付けは奥様の介護保険と分けることは可能です。

場所内容工事費自己負担
トイレ

和式から洋式へ変更350,000円170,000円
引き戸への交換70,000円7,000円
手すりの設置50,000円5,000円
ドアノブの交換10,000円1,000円
浴室扉の取替え工事
折り戸への交換
120,000円12,000円
段差の解消
廊下から浴室
100,000円10,000円
滑り止めタイルへの張替え55,000円5,500円
ユニットバスへ取替え
(介護保険適用外)
800,000円800,000円
階段手すりの設置(6mの場合)110,000円11,000円
屋外階段
コンクリートスロープの設置
100,000円10,000円
滑り止めシートの設置90,000円9,000円
階段昇降機の設置
(介護保険適用外)
700,000円700,000円
玄関滑り止めタイルへの変更100,000円10,000円
埋め込みの支柱の設置70,000円7,000円
上がり框(かまち)の段差解消40,000円4,000円
縦型手すりの設置20,000円2,000円

(20万円以内が1割負担の場合)※費用は改修業者や内容により異なります。

住宅改修(リフォーム)のメリット

住宅改修(リフォーム)を行うメリット・デメリットはどのようなものがあるでしょうか。

自立した生活を継続できる

介護保険から給付される住宅改修は、在宅生活を継続するために必要な工事が対象となっています。住宅改修を行うことで、自立した在宅生活を継続できることは、介護を受ける方の大きなメリットです。

介護する家族の負担軽減に繋がる

在宅での介護は家族にも身体的な負担が伴います。住宅改修を行うことで、介護を受ける方はもちろん介護をする家族の負担軽減にも繋がります。

安価な費用で改修をすることが出来る

介護保険から給付を受けることが出来るので、少ない自己負担で住宅改修を行うことが出来る点はメリットと言えます。

住宅改修(リフォーム)のデメリット

手続きに時間がかかる

介護保険で住宅改修を行うためには要支援・要介護認定を受けている必要があります。急激に身体状況が悪化した場合などでも、手続きを待ってから工事を進めなくてはいけません。また、住宅改修を行う前には市区町村へ届出を行い、確認を受けてから工事を行う必要があります。

急いで工事を行いたい場合でも、そのような申請の時間がかかってしまうことがデメリットのひとつです。

限度額(20万円)の範囲では大掛かりな工事は難しい

介護保険での住宅改修は20万円が上限で、その金額を超えた部分については、介護保険の給付の対象にはなりません。20万円では大掛かりな工事を行えず、自己負担が大きくなってしまうことはデメリットのひとつと言えそうです。

住宅改修(リフォーム)の利用方法

住宅改修(リフォーム)の利用方法

住宅改修(リフォーム)を利用するためにはどのような流れになるのかを見てきます。

決められた流れで申請を行わないと、支払いを受けられないこともあるため予め流れを確認し不備のないように準備を行いましょう。

ケアマネジャー等に相談

住宅改修(リフォーム)を考える際には、先ずは担当のケアマネジャーに相談をしましょう。

住宅改修は原則として一生涯に一度しか介護保険の利用は出来ず、また家の構造や造りを変えることもあるので、長い目で見て本当に必要な改修かどうかをよく相談することが重要です。

なお、要支援・要介護認定を受けていてもサービスを利用していない場合には、担当のケアマネジャーがいない場合もあります。その場合には、市区町村の介護保険担当の窓口か地域包括支援センターで相談しケアマネジャーを紹介してもらいます。

 

施工事業者を選択・見積もり

地域の工務店やリフォーム会社を選び、見積もりを取ります。施工事業者を選ぶ際に心あたりがない場合にはケアマネジャーに相談をすることも可能です。介護保険による住宅改修に力を入れている事業者は、高齢者や障がい者の住環境の専門家である福祉住環境コーディネーターなどの資格者を配置している場合もあります。

基本的には、どのような事業者で工事を行っても問題はありませんが、介護保険を利用するには市区町村に書類を作成し提出をしなくてはいけませんので、そのような作業に慣れている事業者であると安心して任せることが出来ます。

 

工事前に市町村へ申請

介護保険を利用した住宅改修(リフォーム)を行う場合には、必ず改修工事の前に事前申請を行います。工事内容の事前確認書や改修が必要な理由書、見積もりなどを提出します。

事前の申請がない場合には、介護保険からの給付(支払い)を受けることが出来ませんので注意が必要です。また、要介護認定申請の前の工事についても給付の対象外となります。

 

市町村が内容を確認・審査・判定

事前に提出した書類を市区町村が確認し、審査を行い問題が無ければ工事を着工することが出来ます。判定前の工事は、給付が認められない場合もあるので気を付けましょう。

 

改修工事の施工・支払い

市区町村からの許可が出て、初めて改修工事を着工する事が出来ます。改修工事が終了し、施工業者に支払いを行い工事が完了します。

なお、受領委任払いを利用した支払い方法が可能な場合には保険から支給される分を引いた金額を支払います。それ以外の償還払いの場合には、一旦全額を施工業者に支払い後日還付の手続きを行います。

 

改修費の支給申請

改修費の支給申請には、工事の申請書や改修前後の写真、領収書などを添付して手続きを行います。書類に不備がなければ後日、介護保険から支払いが行われます。

 

改修費の支給

一旦全額を施工業者に支払い、後日還付の手続きを行う「償還払い」が原則です。しかし、予め登録されている業者の場合には介護保険から給付される金額を除いた分を支払う「受領委任払い」の利用をすることも可能です。そのような業者を選ぶことも一時的な金銭的負担の軽減に繋がります。

住宅改修(リフォーム)の選び方

ポイント

住宅改修(リフォーム)を行う事業者は数多くあります。介護保険のサービスは都道府県から指定を受けてサービスを提供していますが、住宅改修事業者には指定がありません。

そのため、様々な事業者が住宅改修を行うことができます。どのような点に気をつけて事業者を選べばよいかみていきましょう。

複数の事業所を比較・検討する

住宅改修(リフォーム)を行いたいと考えた際には、極力複数の事業所に見積もりを取るようにしましょう。担当のケアマネジャーがいる場合には、可能であれば立ち会ってもらい客観的に必要な工事を提案してもらうことも重要かもしれません。

事業所の対応・知識を確認する

住宅改修(リフォーム)事業所は数多くあるため、必ずしも介護の知識がある事業所ばかりではありません。

例えば手すりの高さひとつを見ても、「本当に適正な位置なのか」など介護の知識が必要な場合もあります。そのような知識や対応が可能な事業所を選ぶことは事業所選びでも特に重要です。

最近では、介護保険の住宅改修を狙った悪質な住宅改修施工業者も問題になっています。特に、事業所からの売り込みや余分な工事を無理強いするなど金額を釣り上げようとする事業所には注意が必要です。そのような場合には、ケアマネジャーや自治体に相談しましょう。

契約内容を確認する

住宅改修工事の前には、契約内容を作成してもらい確認を行いましょう。また、介護保険の支給申請のための書類などもケアマネジャーに作成を依頼しなくてはいけません。

ケアマネジャーと改修事業所にも連絡を取り合ってもらい、ケアマネジャーからも契約内容を精査してもらえると安心して工事を行うことができます。

おわりに

在宅生活を長く送るために住宅改修(リフォーム)を行うことは、介護を受ける方の生活の質の向上はもちろん、介護を支える家族や事業所の負担軽減にも繋がります。

市区町村によっては独自の補助制度がある場合もあるので、必要なときに必要な工事を行うことが在宅生活を継続させるためには重要となります。一方、転居や施設への入所を検討している場合などには本当に住宅改修が必要なのかどうかをよく検討することも重要です。

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