2017年1月1日介護休業法が改正!8つのポイントを徹底解説

今回の改正の趣旨は、労働者が介護を必要とする家族を介護するため、介護休業・休暇などのサービスが十分に利用されていなかった現状と介護離職を防止するため、より取得しやすくもっと柔軟に利用できるようにすることを目的とし、様々な要件が変更されます。

では、2017年(平成29年)1月1日から介護休業法はどう変わるのか?改正される内容を1つ1つ見ていきましょう。

なお、当サイトでは介護に関わることのみを記載しています。

改正前の介護休業制度とは?

対象家族1人につき、1回、通算93日まで

改正前の介護休業制度の内容は、労働者が事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態ごとに1回、通算93日まで介護休業が取得することができることとなっていました。

ここで言う「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上または精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態のことを示します。

要介護認定は不要
公的介護保険制度上の「要介護状態」の要件とは違うため、「要介護認定」を受けていなくても、介護休業の対象になります。

介護休業は改正後、どう変わる?

改正前と比べ変わるところが8つあります。労働者様・企業様ともに必ずチェックしておいてください。さらにページを進めますと詳しくはポイントが書いております。

改正後の8つのポイント
  • 要件緩和(今までは要介護2以上)
  • 対象家族の範囲(今までは少なかった)
  • 介護休業回数が増えて分割可能(今までは1回)
  • 介護休暇が半日単位で可能(今までは1日単位)
  • 短縮措置が3年の間で2回以上可能(今までは93日の範囲内)
  • 残業の免除(新設)
  • マタハラなどの防止措置(新設)
  • 両立支援制度(新設)

 

では、介護休業法がどのように変わったのか、従来の内容と新設された内容も含めて1つずつ見ていきましょう。

 

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介護休業の要件緩和

改正前の内容

要件が要介護1まで引下げ

「対象家族が常時介護を必要とする状態」の判断基準について。これまで介護が必要な家族は「要介護2〜3」まででしたが、条件により「要介護1」まで引き下げられます。認知症などを発症している場合、全面的な介助が必要であったり、見守りが常時必要である場合は、取得できるようになります。

要介護1になる要件
例えば、要介護1の認定を受けていても、認知症がある場合「外出すると戻れない」ということが「ほとんど毎回ある」場合には「常時介護を必要とする状態」と判断され、その状態が2週間以上の期間にわたる場合に介護休業の対象となります。

常時介護を必要とする状態

改正後「対象家族が常時介護を必要とする状態」は以下の2つのどちらかに該当する必要があります。また、下の表に当てはまる状態であれば要介護1に該当します。

  • 介護保険制度の要介護状態区分において、要介護2以上であること
  • 下記の表の状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。(要介護1相当)具体的には以下の表をご覧ください。
  1 ※1 ※2
①座位保持(10分間一人で
座っていることができる)
自分で可 支えてもらえれば
できる※3
できない
②歩行(立ち止まらず、
座り込まずに5m程度歩く
ことができる)
つかまらないで
できる
何かに
つかまればできる
できない
③移乗(ベッドと車いす、
車いすと便座の間を移る
などの乗り移りの動作)
自分で可 一部介助、
見守り等が必要
全面的
介助が必要
④水分・食事摂取 ※4 自分で可 一部介助、
見守り等が必要
全面的
介助が必要
⑤排泄 自分で可 一部介助、
見守り等が必要
全面的
介助が必要
⑥衣類の着脱 自分で可 一部介助、
見守り等が必要
全面的
介助が必要
⑦意思の伝達 できる ときどきできない できない
⑧外出すると戻れない ない ときどきある ほとんど
毎回ある
⑨物を壊したり衣類を
破くことがある
ない ときどきある ほとんど
毎日ある※5
⑩周囲の者が何らかの対応を
とらなければならないほどの
物忘れがある
ない ときどきある ほとんど
毎日ある
⑪薬の内服 自分で可 一部介助、
見守り等が必要
全面的
介助が必要
⑫日常の意思決定 ※6 できる 特別な場合は
できない ※7
ほとんど
できない

※1:各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。
※2:各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。
※3:「①座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。
※4:「④水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。
※5: ⑨3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には 「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。
※6:「⑫日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。
※7:「特別な場合はできない」とは慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関 する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。

会社は介護休業の申し出があった労働者に対して、対象家族の要介護状態がわかる書類(介護保険被保険者証)などを提出してもらう、難しいようであれば介護支援専門員(ケアマネジャー)と連絡を取るなど、介護休業を円滑に対応できる対策をしておく必要があります。

介護休業の分割取得

改正前の内容

今までは、介護休業を取得するには、介護を必要とする家族1人につき、合計93日までの間に原則1回だけ可能だったのが、通算93日分を3回に分割して取得することが可能になります。

3回分割によるメリット

今までは、家族に介護が必要になった場合、介護休業を取得して介護保険の認定を行い在宅や施設に決める。これで終わりでしたが、分割できるため、93日(約3ヶ月)以内にまた何か必要になったとき対応が可能になります。

介護離職が想定されるデメリット

3回に分割できることで労働者は柔軟に動くことができるようになりますが、以下のようなことも想定されます。

例えば、要介護状態になった親の介護を決めるため、在宅介護だとデイサービスやヘルパー事業所などの確保、施設入所だと対象施設を探すため、通算93日分の介護休業を3回取得してなんとか落ち着いたとします。

しかし、3回使い終わったあと数か月後、1年後などに、以下のようなことが起きてきます。

  • デイサービスやヘルパーと合わない
  • 施設の対応が悪いから変えたい

そうなった場合、また介護休業が必要になりますが、既に通算93日3回を消化してしまっているため、取得することができません。やむを得ずに退職しなければいけなくなる可能性が大きくなります。分割できるメリットが増えましたが、通算日数が変わらないため最低でも通算日数を年単位(365日分)、回数は10回くらい取得できるよう更なる改正が必要だと思います。

介護休暇の半日取得

改正前の内容

1年間に5日、半日単位で取得可能

今までは、介護を必要とする家族1人につき、1年間に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで介護休暇を取得することが可能でしたが、今回の改正により、半日単位(所定労働時間の1/2)の取得が可能になります。

  • 半日単位(所定労働時間の1/2)の取得が可能
  • ※所定労働時間が4時間以下の労働者については適用除外とし、1日単位。
  • ※業務の性質や業務の実施体制に照らして、半日を単位として取得することが困難と認められる労 働者は、労使協定により除外できる。
  • ※労使協定により、所定労働時間の二分の一以外の「半日」とすることができる。(例:午前の4時間だけ、午後の2時間だけなど)

半日単位によるメリット

これにより例えば、まる1日休暇が必要なかったケアマネジャーとの話し合いやデイサービスの送り迎え、病院への通院などにも利用できるようになり、有効的な活用が期待できます。

介護休暇は年に5日しかないため、半日単位での取得ができることで年間10回は有効に活用できそうです。先で述べた介護休業の日数を増やせれないのであれば、せめてこちらの介護休暇の日数を増やすことでより柔軟にストレスなく両立できると思います。

介護のための所定労働時間の短縮措置など

改正前の内容

これまで所定労働時間の短縮措置は介護休業と通算して93日の範囲内でしか取得ができませんでしたが、改正により介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能になります。

事業主が労働者に対して講じなければいけない措置

事業主は介護を必要とする家族の介護をする労働者に対して対象家族1人につき、以下のいずれかの措置を選択して講じなければなりません。(措置内容は現行と同じ)

具体的には、所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間以上の場合は1時間以上の短縮が望ましいです。

  • 短時間勤務の制度
     a 1日の所定労働時間を短縮する制度
     b 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
     c 週又は月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務であるとか、特定の曜日のみの勤務等の制度をいいます。)
     d 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
  • フレックスタイムの制度
  • 始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)
  • 労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度

適応除外となる労働者

また、日々雇用者や労使協定で適用除外とされた次の労働者は対象となりません。

  • その事業主に継続して雇用された期間が 1 年に満たない労働者
  • 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の労働者

事業主が措置をするにあたり気を付けなればいけないこと

  • 労働者が就業しつつ対象家族を介護することを実質的に容易にする内容のものとすることに配慮しなければいけません。
  • 今後取得できる介護休業等の日数が不明確にならないために、措置を講じる措置の初日を労働者に明示することが必要です。
  • 措置のうち少なくとも1つを講ずれば足りますが、可能な限り労働者の選択肢を広げるよう工夫することが望まれます。

介護のための所定外労働の免除(新設)

要介護状態にある対象家族を介護する労働者は、対象家族1人につき、介護の必要がなくなるまで、残業(所定外労働)の免除が受けられる(請求することができる)制度になります。いままで育児では認められていましたが、介護では今回の改正でようやく所定外労働の免除が認められます。

免除対象となる労働者

  • 日々雇用される者でないこと
  • 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
    ア) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
    イ) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者 について、労使協定により所定外労働の免除の対象外とすることができることとされています。
  • 労働時間等に関する規定が適用除外されている管理職でないこと
    ただし、労働基準法第 41 条第 2 号に定める管理監督者に当たらない場合には、所定外労働の免除の対象と なります。

所定外労働の免除の請求の方法

所定外労働の免除の請求は、次の事項を事業主に通知することによって行わなければなりません。

  • 請求の年月日
  • 請求をする労働者の氏名
  • 請求に係る対象家族の氏名、生年月日及び労働者との続柄
  • 請求に係る免除期間(初日及び末日)

請求があった場合の事業主の対応方法

  • 事業主は労働者から請求があった場合には、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはなりません。
  • 事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は請求を拒否することができます。
  • 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断することとなります。
  • 事業主は、労働者に対して請求に係る対象家族の介護を証明する書類の提出を求めることができます。
  • 事業主は、所定外労働の免除については、労働者がこれを容易に受けられるようにするため、あらかじめ制度が導入され、規則が定められるべきものであることに留意してください。
  • 事業主は、労働者の対象家族の介護状況、労働者の勤務の状況等が様々であることに対応し、制度の弾力的な利用が可能となるように配慮して下さい。「制度の弾力的な利用」としては、例えば、労働者が一時的に子の養 育をする必要がなくなった期間について、話合いにより、その事業主の下で所定労働時間を超えて労働すること等労働者の様々な状況に対応す るための運用が考えられます。

所定外労働の免除の終了理由

  • 請求に係る対象家族の死亡
  • 離婚、婚姻の取消、離縁等による請求に係る対象家族と当該請求をした労働者との親族関係の消滅
  • 請求をした労働者が、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態になった

対象家族の範囲を拡大

いままでは、同居しかつ扶養している祖父母や兄弟姉妹、孫でなければ対象家族に含まれませんでしたが、改正により、同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹、孫であっても対象家族に含まれることになります。

これにより、親の介護だけでなく、おじいちゃんおばあちゃんに介護が必要になり、いざ親が探そうとなっても親の体調が悪くて探すことができない。改正により同居・扶養でない祖父母も対象家族になったため、介護サービス利用についてケアマネジャーと相談したり、施設探しなどに介護休業を利用することができますので、非常に良いと思います。

介護対象家族の範囲2

マタハラ・パタハラ・ケアハラなどの防止措置(新設)

改正前の内容
  • 「マタハラ」とは
    マタニティハラスメントの略になります。女性労働者が、妊娠・出産・育児を理由に職場内で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり自主退職や解雇を強要などをされることにより被害を被る不公平な扱いを受けることです。
  • 「パタハラ」とは
    パタニティハラスメントの略になります。男性労働者が、マタハラと同じく育児を理由に不公平な扱いを受けることになります。
  • 「ケアハラ」とは
    ケアハラスメントの略になります。介護をしながら働く男性・女性が、介護を理由に職場内で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり自主退職や解雇を強要などをされることにより被害を被る不公平な扱いを受けることです。

育児・介護を理由とする嫌がらせはやめる

介護休業を取りたいと申し出ても、上司から「そんな急に休まれると困るんだけど、しかも今やっている仕事どうするの?誰もやれる人いないよ」

同僚から「この忙しい時によく休めますよね」陰口で「中途半端に休むなら辞めてもらった方がいいんだけど」などまだまだこのような会社はあるかもしれません。

このような言動は、育児介護休業法10条に違反しますので各企業は、このようなことがないように対策が必要になります。

  • 事業主による「妊娠・出産・育児・介護休業等」を理由とする不利益取り扱いは禁止
  • 上記に加え、上司や同僚からの「妊娠・出産・育児・介護休業等」を理由とする嫌がらせ等(マタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付け。
  • 派遣労働者の派遣先にも以下を適用。
  • 介護休業等の取得等を理由とする不利益取り扱いの禁止
  • 妊娠・出産・育児・介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け

事業主が職場における育児・介護休業等に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置

  • 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
  • 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 職場における育児・介護等に関するハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応
  • 育児・介護産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
  • 上記4点の措置と併せて講ずべき措置
    ア)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
    イ)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周 知・啓発すること。

仕事と介護の両立に向けた情報提供

厚生労働省が示す仕事と介護の両立に向けた情報提供とは以下になります。

労働者に対する介護サービスや介護休業に関する相談・支援の充実を図るとともに、企業における両立支援制度の利用等に関する周知や相談窓口の設置等の取組を支援する。

行政と企業が連携をとり、労働者に対して、介護休業を取得しやすくするために、介護休業制度の明確化や相談窓口を作ることにより、介護離職をなくし、働きやすい職場作りを目的としていると思います。

行政や企業がどこまでこれをすることができるのか。未知数ですが、より多くの企業が率先して仕事と介護の両立ができる職場を目指し、労働環境の整備をしてほしいと思います。

まとめ

今回の改正により「介護離職ゼロ」まではまだまだだと思いますが、介護休業できる人は増えると思います。しかし、私としては、介護はいつまでかかるか先が見えないため、通算日数は365日分、回数は少なくとも10回は必要であると思います。少しずつ上げたところで利用する人のメリットが大きいとはあまり感じられません。

今後の課題は社会全体で「介護休業を取得しやすいこと」に変えていけるように、企業側は人が抜けた時の体制作りなどを率先して考えて取得しやすい社会に変えていくことが大切だと思います。

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