介護職で働いていて、転職や退職を考えた時に「人手不足だから」と、引き留めにあってなかなか辞められない、という話がよく聞かれます。
うちの職場、人手不足で大変でやばい。。もう辞めたい。。
後任が決まるまでって言われるけどもう退職したい。。
上記のように今の職場が人手不足で辞めたい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では介護職が人手不足である理由わかりやすく解説します。また会社・上司への上手な退職希望の伝え方、退職を引き留められた時の対処法についてまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
人手不足でやばい介護業界5つの理由
出典 厚生労働省
2014年から全産業でも売り手市場になっており、2018年時点での全産業の有効求人倍率は1.46倍、対して2018年時点での介護業界の有効求人倍率は3.95倍でその差は2.7倍になります。
ハローワークに申請された求人数を求職者数で割った数値になります。人手不足の時は1を上回り、人が足りている時は1を下回ります。つまり1を超えると仕事が見つけやすい状態になります。
介護職は有効求人倍率3.95倍から見ると非常に就職しやすい仕事なので、人は集まりそうですが、そんな介護業界が人手不足になるのはなぜなのか、1つずつ理由を解説していきます。
【理由1】介護需要の急速な増加
以下は2000年から2025年までの「要介護者数」と「介護職員数」の推移になります。
要介護者数 | 介護職員数 | |
2000年 | 218万人 | 54.9万人 |
2010年 | 487万人 | 142.7万人 |
2011年 | 508万人 | 150.9万人 |
2012年 | 533万人 | 163.0万人 |
2013年 | 564万人 | 170.8万人 |
2014年 | 586万人 | 176.5万人 |
2015年 | 608万人 | 183.1万人 |
2016年 | 622万人 | 183.3万人 |
2017年 | 633万人 | 186.8万人 |
2025年 | 予想720万人 | 予想249万人 |
出典 厚生労働省
平成12年(2000年)、全国の要介護者数は218万人で、介護職員数は55万人でした。ところが平成22年(2010年)には要介護者数は487万人、介護職員数は142.7万人となり約10年間で約2.5倍近くに増加しています。
さらに2017年には622万人となりわずか7年で1.3倍に膨れ上がっています。
令和7年(2025年)には237万人~249万人の介護職員が必要になると考えられますが、現状から考えられる介護職員数は218万人~229万人と推計され、今後も介護職員の不足が予想されます。
人手不足の対策としては介護職員の処遇改善や中高校生、大学生、外国人などの多様な人材の育成や確保が課題と解消の糸口になると言われています。
参考 介護職員処遇改善加算とは
【理由2】介護のマイナスイメージ
従業員の過不足の状況を介護労働安定センターが調査したところによると、8割以上が「採用が困難である」ことを人手が不足している理由として挙げています。
では、その「採用が困難である原因」についての回答をご覧ください。
出典 厚生労働省
採用が困難である原因のトップは僅差で「同業他社との人材獲得競争が激しい」、次に「多産業に比べて、労働条件等が良くない」、さらに「景気が良いため、介護業界への人材が集まらない」の順になります。
また、労働条件がきつい割に対価が少ないのも介護業界に人材が集まらない理由とも言えます。
離職によって人手不足になるのではなく採用自体が困難なのは、介護職のイメージに原因があるようです。
給与など待遇面では施設や事業所によっても異なる面があるのですが、介護の職種そのものが敬遠されているという現状があります。
待遇の良い介護施設・事業所は自分で探すのはなかなか難しいです。介護転職サイト(人材紹介会社)を利用することで「月収40万以上、土日休み、年間休日120日以上、未経験OK、残業無し」などの好待遇求人を無料で紹介してもらえます。
近年問題となっている高齢者虐待事件がテレビのニュースで大々的に取り上げられているのが引き金となり、介護業界全体がネガティブなイメージを払拭できなていないことも人手不足に繋がっている1つの原因でしょう。
【理由3】人間関係の悪さ
人間関係 | 結婚・出産 | 施設・事業所 | 他の仕事 があった |
将来が 見込めない |
20.0% | 18.3% | 17.8% | 16.3% | 15.6% |
収入が 少ない |
資格を 取った |
人員整理 | 向かない 仕事だった |
家族の介護 |
15.0% | 11.5% | 7.2% | 6.0% | 4.6% |
出典 介護労働安定センター
介護職員の離職理由の上位には、「人間関係、結婚・育児・出産、会社に不満、良い仕事が見つかった」が続いています。
中でも「収入が少ない」退職理由については、資金力の少ない小規模事業所に多くみられており、事業所の規模や運営方針などが、離職の高さとも関わっているようです。
人間関係の悪さはすべての介護施設・事業所に当てはまるわけではありませんが、女性の占める割合が極めて多い介護業界では「妬み・嫌がらせ・いじめ」などをする悪質な介護職員がいるのも事実です。
参考 介護職員がいじめや嫌がらせを受けた時の7つの対策方法と8つの原因
こうならないためにも法人側は常に教育・研修など人材育成に力を入れる必要があると言えます。
【理由4】給与が低くて不安定
介護職で現在働いている職員でも「給与が業務内容に見合わない金額である」と考えている人は多く、他の産業に比べて低めの水準になっているのは確かです。
勤続1年未満の初任給は全産業に比べて、高卒では1万円弱、短大・大卒では1万5千円弱ほど下回っています。
以下はさらに年収に換算した表になります。
月収 | 年収 | |
高卒 男性介護士 |
15万6,200円 | 187万4,400円 |
高卒 女性介護士 |
15万3,600円 | 184万3,200円 |
高卒 全産業 |
16万1,500円 | 193万8,000円 |
短大・大卒 男性介護士 |
17万9,500円 | 215万4,000円 |
短大・大卒 男性介護士 |
17万6,400円 | 211万6,80円 |
短大・大卒 全産業 |
19万2,200円 | 230万6,400円 |
初任給は、高卒・短大卒・大卒のいずれも他産業よりも低くなっています。
これから結婚・出産・育児で家庭を作ることを考える20代から30代の若い年代にとっては、将来的に不安が大きく、他の業種を選んだり一旦は介護の仕事をしていても、結婚などライフステージの変化をきっかけに、転職を考えることが多いのです。
以下の表を見るとより若い介護職員が少ないことがわかります。
ホームヘルパー | 施設職員 | |
平均年齢 | 44.7歳 | 38.7歳 |
勤続年数 | 5.6年 | 5.5年 |
平均給与額 | 21万8000円 | 21万9000円 |
若い人材は将来的な不安が大きく、職員全体の年代は高めで、施設の介護職員は30~49歳が全体の約半数を占め、訪問介護員では60歳以上が3割以上となっていますが、これらの年代でも給与水準は低めです。
以下は全労連の年齢調査になります。
施設介護 | 訪問介護 | |
10代 | 0.4% | 0% |
20代 | 10.9% | 1.0% |
30代 | 23.8% | 5.9% |
40代 | 28.0% | 20.2% |
50代 | 24.6% | 35.3% |
60代 | 11.5% | 30.2% |
70代 | 0.9% | 7.5% |
出典 全労連
この調査結果によると施設介護の平均年齢は44.8歳。訪問介護員(ホームヘルパー)の平均年齢は55.5歳です。
逆に一番多いのは施設介護で40代の28.0%、訪問介護で50代の35.3%となっており、特に訪問介護は若者がゼロで年配のヘルパーが活躍していることがわかります。
このことから50歳以上でこれから介護に転職したいと考えている方は訪問介護が良いと言えるでしょう。
参考 訪問介護の仕事内容とは
【理由5】労働環境の悪さ
介護職全体の離職率は他産業と比較しても高いわけではありませんが、事業所ごとにはかなりのバラつきが見られます。
10%未満 | 10~15% | 15~20% | 20~25% | 25~30% | 30%~ | |
離職率 の割合 |
48.2% | 10.7% | 7.0% | 6.6% | 6.4% | 21.1% |
全産業の離職率は14.8%ですが、介護事業所全体の約5割が離職率10%未満でした。
しかし、約2割の事業所で離職率が30%以上と非常に高くなっていますが、大規模事業所(社会福祉法人など)では離職率が低い傾向にあります。
この著しく高い離職率の原因は、どちらかといえば規模の小さな事業所(民間のデイサービスや訪問介護)に多いと考えられるでしょう。その理由は、運転資金が少ないため、労働環境の整備が滞り、介護職員の給与が低くなっているためです。
出典 厚生労働省
勤続1年未満で退職された施設介護職員・訪問介護職員は約3~4割も占めています。
介護業界の離職率の高さは勤続年数の短い人も原因の1つと考えられます。その理由はいくつかあり、「人間関係・給与の低さ・サービス残業など労働環境の悪さ」などが挙げられます。
円満退社するまでの流れ
- 【STEP1】辞めたい理由を整理する
- 【STEP2】直属の上司に相談
- 【STEP3】退職の申し出
- 【STEP4】「退職願」を提出する
- 【STEP5】引継ぎ
- 【STEP6】有給休暇を消化する
- 【STEP7】退職日・返却
【STEP1】辞めたい理由を整理する
自分がどの理由で辞めたいと思っているかを整理します。
- 勤務時間
- 給与額
- 人間関係など
辞めることでしか解決できない理由なのか考えて、誰かに相談できるような改善策があれば一度は試してみましょう。
相談できる先輩や上司、同僚が居ないのであれば辞める方向で、円満に退職できるよう準備に移ります。
【STEP2】直属の上司に相談
退職届はいきなり提出せず、自分のすぐ上の上司に退職したい旨を相談し、了解を得てからというのが一般的なマナーです。
その際ははっきりした理由と、希望する退職時期を伝えますが、曖昧な理由だと引き留められたり、その先に話が進まないこともあるので、相手も納得できるような退職理由であることと、単なる職場への不満や批判にならないよう注意します。
転職が理由なら「新たに挑戦したい」など前向きな決意を伝え、からだの負担や不調が理由なら念のため診断書を用意したり、病状の説明をできるようにしておきます。
【STEP3】退職の申し出
いつまでに退職届を出せば退職できるかですが、基本的に労働者がいつ退職するかは法律上は自由ということになっています。
ただ、民法の規定では雇用期間の定めのない雇用契約(一般的な正社員)の場合、労働者が退職を申し出てから2週間を経過すれば労働契約は終了するとされてます。
(就業規則で退職の申し出時期について規定がある場合でも、法律が優先されるので、最低2週間前に申し出れば退職が可能です)
円満に退職を望むのであれば、一般的に退職希望日の1~3か月前くらいに意思表示をすることで雇用側にも新たな人員を雇用したり引継ぎの時間も取れるので退職しやすくなります。
引継ぎに必要な期間などを先に上司と話し合い、なるべく職場に無理がかからない退職時期を決定して、それに合わせて退職願を提出します。
【STEP4】「退職願」を提出する
上司に了承してもらったら、退職願を退職申し出の期限内に会社に提出します。
「退職願」「退職届」「辞表」はそれぞれ異なります。
退職願 | 退職する意思表示を会社にお願いするための書類になります。 口頭で伝えることもできますが、書面にして提出するのが一般的です。 |
退職届 | 退職日が決定したあとで退職を会社に対して届け出るための書類になります。 民法627条の規定により、退職を申し入れてから2週間の期間を置くことで 会社の承諾に関係なく辞めることができます。 一旦、提出すると本人が届を撤回したり会社側が断ることはできません。 |
辞表 | 雇用関係のない立場の者(社長や取締役、公務員など)が役職を辞めるための書類になります。 |
この場合は「申し出をして会社の承諾を得た上で退職する」意味を持つ「退職願」を用います。
退職願に記載する退職理由は、細かく説明する必要は無いので「このたび、一身上の都合により、勝手ながら〇年〇月〇日をもって、退職いたします」で問題ありません。
【STEP5】引継ぎ
直属の上司を通して退職届を提出し、受理されて退職日が決定したら、具体的な準備に入ります。
仕事の引継ぎに関しては、後任の人に業務の中で伝えていくか、まだ新しい職員が決まっていないなら、引き継ぐ必要のある業務やその詳細について書いておき、決まり次第渡せるようにしておくとスムーズでしょう。
【STEP6】有給休暇を消化する
会社の規定などにより、申し出から退職までの日数が思いのほか長くなってしまう場合があります。引継ぎに必要な日数は考慮するとしても、有給休暇が残っている場合は必ず消化するようにしましょう。
通常の労働者の付与日数 | |||||||
継続 勤務年数 |
6ヶ月 | 1年 6ヶ月 |
2年 6ヶ月 |
3年 6ヶ月 |
4年 6ヶ月 |
5年 6ヶ月 |
6年 6ヶ月以上 |
付与 日数 |
10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
勤続6か月以上の正社員と、パート・アルバイトなどでも6か月以上・週30時間以上勤務している労働者は、年間10日以上の有給休暇が与えられることになっていて、これ以下の勤務日数・時間の労働者も、労働日数に応じた有給休暇が与えられることになっています。
参考 有給休暇の仕組みとは
上司に有給休暇の取得申請をします。
【STEP7】退職日・返却
職場から貸与・支給されていたもので、返却の必要があるものは退職日までに返却し、退職後の失業保険の手続きなどに必要な証明書等も受け取れるように事務担当に確認しておきましょう。
・制服
・社員証
・健康保険証
・名刺
・社内業務データ・書類
・雇用保険被保険者証
・離職票
・退職証明書
・年金手帳
・健康保険資格喪失証明書
・源泉徴収票(後日郵送になる場合もあります)
退職させてもらえない場合の対処方法
上司から無理な引き止めに遭ったり、なかなかやめさせてくれないケースもあるかと思います。
そこで退職させてもらえない場合の最終手段としていくつかの対処方法をご紹介します。
【方法1】労働基準監督署に相談する
労働基準監督署は労働基準との遵守において各企業を監督する機関になります。
労働基準監督署に相談できる内容は以下になります。
- 労働条件
労働時間、賃金、解雇、退職金など - 労災保険
業務中のケガ、通勤退勤時のケガなど - 安全衛生
労働災害防止、職業性疾病防止など
上記に違反している可能性がある会社には立ち入り調査が行われ厳しいチェックが入ります。その際、法令違反が見つかった会社は是正勧告(行政指導)を受けることになります。
参考 労働相談ほっとライン
【方法2】弁護士に相談する
弁護士に相談することで労働基準法や民法など退職に関わる法的なアドバイスを受けることができ、円滑に退職までのサポートをしてくれます。
弁護士に相談することで具体的には以下のことをしてくれます。
- 会社から損害賠償請求された時の交渉
- ハラスメントの慰謝料請求の交渉
- 未払い給与(残業代、退職金等)の支払い交渉
- 有給を取得させない場合の取得交渉
- 離職票、源泉徴収の交付交渉
一般的に弁護士に相談すると30分5,000円ほどかかりますが、国によって設立された法テラスでは無料相談が可能ですのでおすすめです。(着手金は別途必要になります。)
参考 法テラス
【方法3】退職代行サービスを利用する
退職代行サービスとは、退職の意思を上司や会社に伝えられない方の代わりに会社へ話をして、あなたが出勤することなく円満退職できるサービスです。
「このまま会社へ行かずに辞めたい」「上司に退職を言い出せない」など、円満かつ確実に会社を辞めることができます。
私のおすすめ退職代行サービスは「辞めるんです」です。他社との大きな違いは、料金が業界最安値の27,000円、さらに支払いは後払いOKで追加費用も無し。つまり料金はあなたが無事に退職できてからの支払いで良いため安心して任せることができます。また退職代行件数は7,000件以上、退職成功率は100%と豊富な実績があるので、利用者の満足度が非常に高いのが特徴です。相談は24時間365日LINEにていつでも受付中です。
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- 料金は退職届が受理されてからの後払いでOK
- 24時間365日LINE、メール、電話にて無料相談
- 出勤することなく即日円満退職可能
- 会社と直接のやり取り一切不要
おわりに
介護現場の人手不足は、介護業界の構造的な問題もありますが、それぞれの職場が努力して解消すべきことで、職員がそれを背負って辞めたいのに辞められない、というのはおかしな話なのです。
働くのは自分や家族の生活のためであり、会社の都合のためではありません。より良い職場を目指したりライフステージの変化で家庭を優先にするのは当然のことですから、今回の記事を参考にしてぜひ退職を成功させていただきたいと思います。