介護職員のうつの症状・原因・予防法|うつ経験者3人の共通点とは?

介護の転職

心の風邪ともいわれる「うつ病」は、ストレスの多い現代では誰でもかかる可能性のある精神疾患ですが、近年増えているのが介護職員の方々のうつ病です。

うつ病は適切に治療すれば回復できる病なのですが、無理をし続けて悪化させてしまう人も多く、人員不足が叫ばれて業務が過酷さを増している介護業界では、うつで退職する職員が年々増加しています。

「もしかしたら私も?」と悩んでいる介護職の方は、この記事を参考にしてぜひ早めの対策をすることをおすすめします。

うつ病の症状とは?

うつ病とは「気分障害」といわれる精神疾患の1つ

「憂うつな気分が続く」「やる気が起きない」といった気分は誰もが普段から経験していることですが、うつ病の場合、こうした状態が一日のほとんどすべての時間にあり、その抑うつ状態が2週間以上、長期間継続するのが特徴です。

「よく眠れない」「疲れているのに寝付けない」という睡眠障害があらわれることも多く、「一日中眠くてだるい」という症状や「常に焦りを感じていて落ち着かない」という気分、「生きていても価値がない」「死にたい」という深刻な精神状態に陥ることもめずらしくありません。

また「以前好きだったものに興味を示さなくなった」「飲酒の量が増えた」「以前より涙もろくなった」など周囲の人でも気づくような変化があらわれたり「疲れやすくなった」「動悸がする」「胃が痛い」など身体の不調として、症状が出ることもあります。

自分で感じる症状 憂うつ、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、 イライラする
元気がない、集中力がない、好きなこともやりたくない
細かいことが気になる、悪いことをしたように感じて自分を責める
物事を悪い方へ考える、死にたくなる、眠れない
周囲から見て
わかる症状
表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える
身体に出る症状 食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、肩こり
動悸、胃の不快感、便秘がち、めまい、口が渇く

出典:厚労省

うつの自己診断チェックシート

しかし、こうした心身の症状は他の病気とよく似ていたり、抑うつ状態の原因が服用している薬や持病によるものであることもあるので、気になる症状があるときは、自己診断には頼らず、保健センターの相談窓口やかかりつけ医に相談したり、心療内科を受診して確実な診断を受け、早めに治療につなげましょう。

全国の精神科・心療内科一覧

全国にある精神科・心療内科の医療機関の都道府県別一覧になりますので参考にしてください。

うつ病の原因は2パターンある

うつ病の原因には、本人の性格やストレスに対する弱さなど内的要因と、ストレスなどの外的要因が関わっています。

内的要因は「真面目で几帳面な人」「完璧主義者」「責任感の強い人」

うつ病は「真面目で几帳面な人」「完璧主義者」「責任感の強い人」に多いといわれていますが、こういう性格の人はなかなか柔軟な考え方をせず、ひとつのやり方にこだわってしまうため、臨機応変に考えを変えられる人と比べ、失敗した時の心理的ダメージが大きいのです。

また、責任感の強さから適度に手を抜いたり休むことがなく、自分の力量以上の仕事を背負い込んで無理をしがちなため、大きなストレスを抱えやすいからと考えられます。

外的要因は「人員不足」「パワハラ・セクハラ」「いじめ」

外的な要因として一番に考えられるのは「人間関係」「仕事」の問題ですが、昨今うつ病による退職者が増加している介護職の現場でも、この二つは大きな問題となっています。

年々増える高齢者人口に対して、介護業界の人員不足は深刻で、このことが職場環境の悪化と職員のストレスを招いています。

例えば、長時間の夜勤を一人で週に何度も務めなければならなかったり、職員数に対して業務量が多く忙しすぎるためサービス残業が常態化、中には不規則な勤務から職員が常にストレスを抱えていて、それが弱い立場の職員に対するパワハラやセクハラという形で現れることもあります。

このように悪化した環境での過酷な勤務で、必要な休憩や休日も満足に取れないことが続き、精神状態を悪化させてついには退職に追い込まれるケースが増えていると考えられます。

実際、うつなど精神疾患を発症し労災を申請した介護職員は、2009年から2014年の5年間で2倍に増加しているので、今後同様の原因での退職者が増えていくと、人員不足はますます加速し環境も悪化していくことが懸念されます。

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うつ病のメカニズムと予防法

では、うつにならないためにはどうしたらいいのでしょうか。

うつ病は、単に気持ちの問題や精神的な弱さではなく、大きなストレスがかかることによって、脳の中の神経伝達物質「セロトニン」と「ノルアドレナリン」の量が減少し、脳の機能が落ちることから、様々な症状があらわれると考えられています。

うつ病の原因にはこのセロトニン減少説のほかに、脳の3つの特定部分(背外側前頭前野、扁桃体、帯状回膝下野)の機能低下が原因とする説もあります。うつ病患者には前頭葉の外側にある背外側前頭前野(DLPFC)の働きの低下が多く見られるのですが、この背外側前頭前野(DLPFC)は思考や意思決定に大きな役割を果たしています。

そしてこの背外側前頭前野(DLPFC)が、不安や悲嘆の感情を作り出す扁桃体の活動をコントロールする働きも持っているので、うつ病に特徴的な希死念慮なども、前頭前野の機能低下によって扁桃体の働きを抑制できなくなっていることが一因と考えられます。

セロトニンを増やし、前頭前野を鍛える

つまり、セロトニンの減少を防ぐこと」や、「前頭前野の働きを高めること」が、脳の働きにおいて「うつ病」の予防に役立つことと考えられます。

セロトニンを増やす 前頭前野を鍛える
  • 日光浴を心がける
  • 十分な睡眠
  • リラックス
  • バランスの取れた食事
  • 規則正しい生活

上記はいずれも、すぐに明確な効果がみられるわけではなく、今後もうつにならないようにするには、原因となっているストレス源から遠ざかることも重要な点です。

うつ病の休職・復職・退職の体験談

うつ病の治療では、自分の考え方のくせを知ったり心理的な重荷となっていた出来事を整理していく通院精神療法(カウンセリング)や、抗うつ剤や精神安定剤などによる薬物療法も行われますが、同時に充分な休息を取ることが勧められるので、一定期間休職することも時には必要になります。

例1)うつ病で半年休職、復職後3日で退職を決意

24歳 男性
21歳で病院付属のデイサービスに就職しました。
専門学校卒業時に国家試験に落ち、介護福祉士として内定していた病院から紹介されたのが同じ系列の現職場だったのですが、やってみると利用者さんとの関係や同僚との意思疎通のすれ違いに落ち込むことも多くなり、うつ病を発症してしまいました。
休職して3か月は大変つらく「死にたい」と思うこともありましたが、徐々に回復し試験勉強に挑戦する意欲も出てきました。
休職して半年後、介護福祉士に合格して復職したのですが、「よく戻って来れたな」といった同僚からの風当たりがきつく退職を決意しました。

この男性の場合は勤め先のデイサービス職員との人間関係に悩まれていたようです。周りに相談できる人もいなかったようで、復職しても歓迎されるどころか非難を浴びるなどこういったケースは非常に多いため、復職せずに退職する人が増えています。

 

例2)介護職として老人ホームに勤務 1か月の休職後退職

25歳 女性
大学で学んだ社会福祉の知識を生かせる仕事に就職でき、大きなやりがいを持って働いていたのですが、その施設の上司・職員のほとんどが福祉に対する意識が低いと感じることが多く、施設の運営も利用者さんのことよりも利益重視という姿勢に疑問を感じていました。
勤めて2年目から体の不調が目立つようになり、3年目になると頻繁なめまいや頭痛で起き上がれないこともしばしばあり、職場で過呼吸を起こしたことがきっかけで病院を受診、うつ病と診断されました。
利用者さんのために仕事は続けていきたかったので、服薬しながら勤務を続けましたが、ついに休職を申し出ることになりました。
休職の際も上司からは全く理解を得られず、1か月後にいったん職場に戻ったものの居場所がなく、追われるように退職しました。

需要が多い介護業界には全く畑違いの企業からの参入も多く、社会福祉の意識が低い成果主義的な施設もあります。この女性も利用者さんのために職場にとどまりたいという意向でしたが、そうした高い職業意識を生かせる良い職場が少ないのが、現在の介護業界の現状のようです。

 

例3)グループホームでワンオペ夜勤、退職を検討中

33歳 女性
うつ病になり2か月の休職後復職しました。復職して1か月勤めたところですが、とても疲れやすく毎日ぎりぎりの状態で勤務しています。
夜勤をしなければ務まらない職場なのですが、からだも頭も思うように動かず、自分でも限界を感じています。
やはり退職しかないのかと悩む毎日です。

本人が自覚しているように、健康な状態でも楽ではない夜勤の仕事をするには、まだ難しい状態だったようです。
体調不良を我慢して勤務することが、ミスや思わぬ事故につながることもあるので、退職して治療に専念するべきかもしれません。

 

3人から見えてくる共通点は「迷い」

上記の3事例から共通して言えることは、「迷いがある」ということです。そもそもうつになった原因が現在の職場にあるのですから、「うつになったらすぐ辞める」、これが非常に大事なことです。

うつ病は、しばらく休んだから治るというような簡単なものではないため、休職中の過ごし方や復職の時期については主治医とよく相談し、慎重に判断することが大切です。
しかし、生活の不安や解雇になる焦りから、回復途上で無理に復職する人も多く、より一層病状が悪化してしまうことも多いのです。

うつ病になったら「退職すること」が完治への近道

介護職が自分に合っているのか今一度考えてみる

うつになった外的な要因として職場でのストレスを自覚できる場合、やはり退職して職場や職種を変えなければ根本的な解決・回復にはならないと思います。職場の環境や人間関係は簡単に変わるものではありませんし、休養し復職しても同じストレスがこれまで同様継続されるでしょう。

そんな中で、以前よりも精神的に不安定な状態のまま、同じ環境で仕事をし続けることは、利用者さんに良いケアを提供できないばかりか、自分の病状を悪化させることにもなりかねません

退職のおもな原因が、人間関係や長時間勤務など勤めていた職場そのものにある場合は、もっと良い環境の職場へ転職すれば介護職を続けることも可能かもしれませんが、そもそも介護の仕事が自分に向いていない職種だった、ということもあり得ます。

やむを得ず退職することになったら、今後のためにもその点を一度考えてみると良いでしょう。

「労災」は治療費や休業補償を受けれます

また、業務上のケガや病気について補償される「労災」は、うつなどの精神疾患についても申請が可能で、認定されると、治療費や休業補償などの支払いを受けることができます。

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うつ病からの転職を成功させるには

うつ病で介護職を退職した場合の転職には2通りあります。

ひとつ目は、以前と同じ「介護福祉関係で別の職場に転職」すること、もう一つは全く違う「異業種に転職」することです。

介護の仕事で他の職場に転職する

以前の職場でストレスとなっていたことがどんなことだったか再度考えてみましょう。前の職場の人間関係や勤務状態が問題だったものの、介護職はやりがいがあり自分に合っていたと考えられるなら、同じ介護職での転職も良いでしょう。

また、同じ介護職でも、以前の業種の仕事にストレスを感じていたのなら、他のタイプの業務や施設を探してみましょう。退職後、勉強できる状況なら社会福祉士介護福祉士などの国家資格を取得すると、介護の専門家として、より幅広い選択肢から探すことができます。

探し方は、人間関係の良い職場を探してくれる転職エージェントサイトを利用したり、介護経験者の口コミ評判なども参考にすると、より現実的な情報を得ることができます。サイトによっていろいろな特徴があるのでいくつか試して、自分が無理なく働ける職場を吟味して選びましょう。

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全く違う異業種に転職する

介護職を退職した人の中には、もともと興味を持っている仕事では無かったけれど、企業に就職したら配属されたのが介護部門だった、という人や、安定を求めて介護職を選んだもののやっぱり自分には合わなかった、という人もいるようです。

自分自身はどうなのか、退職後休養中に自分の人生ややりたいことを振り返り、どんな仕事がしたかったのか、自分が持っている興味やスキルから考えてみると、思いがけない道が見つかるかもしれません

他業種への転職には、キャリアやスキルを登録して転職エージェントを利用するのもひとつの方法です。この転職エージェントとは、個別の担当者が付き、先方との条件交渉のほか面接日や入社日の調整など、不安の多い他業種への転職をサポートしてくれます。

利用するには、優良企業の求人を多く保有している大手のエージェントを選ぶことと、少なくとも2社以上に相談して客観的な判断をしましょう。

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おわりに

うつ病は真面目な人に多いため、辛いと感じても本人は限界まで仕事を続けがちです。もしも家族や同僚でうつ状態にあてはまる人がいたら、周りの人が理解して治療を勧めてあげてください

うつになってしまった本人にとっては、ここで立ち止まることが、今後の長い人生には確実に役立つことになりますので、決して無理せず休養をとって治療に専念することが大事です。

休職中・退職後の生活を支える、傷病手当や労災などの制度や補償も活用して、より良い次の仕事への一歩を踏み出しましょう。

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