ホスファチジルコリン(レシチン)が健康に良いみたいだけど、どんな効果があるのかな?
このように
- ホスファチジルコリン(レシチン)の健康効果について詳しく知りたい
- ホスファチジルコリン(レシチン)の摂取方法が知りたい
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、ホスファチジルコリンとは、ホスファチジルコリン(レシチン)の効果・効能、ホスファチジルコリン(レシチン)の摂取量、ホスファチジルコリン(レシチン)の摂取方法、ホスファチジルコリン(レシチン)の副作用と飲む際の注意点、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
ホスファチジルコリンとは
レシチンと呼ばれるアセチルコリンの元となる成分
ホスファチジルコリンは、身体の中でビタミンと似た働きをする水溶性の物質で、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの元になる成分です。一般的に略されるコリンの正式名称をホスファチジルコリンと言います。
現在では、レシチンという表記の方が見慣れているかもしれません。ギリシャ語で卵黄のことをレシトスというため、この名がつきました。
善玉コレステロールを増やす働き
ホスファチジルコリンは、リン酸、グリセリン、脂肪酸と合わせてレシチンの構成成分です。ホスファチジルコリンは、善玉コレステロールを増やす働きがあります。
また、ホスファチジルコリンは細胞膜の構成成分であるリン脂質の一つであり、全ての細胞に必要なものです。
ホスファチジルコリン(レシチン)の効果・効能
ホスファチジルコリンには、どのような効果・効能があるのか。研究や臨床結果などによるホスファチジルコリンの科学的根拠(エビデンス)を見てみましょう。
認知機能の改善
アセチルコリンは、認知機能に深く関係している非常に重要な成分です。アルツハイマー型認知症患者の脳では、アセチルコリンの量が低下していることがわかっています。
アセチルコリンが不足すると注意力や集中力が落ち、脳の活動が低下し、眠気を生じます。そのため、アセチルコリンを増やす・維持させることで記憶力が向上し認知症予防に繋がります。
【アメリカ】ウェスト・バレー大学の研究(1993年)
大学生80名に、ホスファチジルコリンの顕在記憶への影響を試験するため、プラセボ(治療効果のない薬)10gと3.75gのコリンを含むホスファチジルコリン25gの2つを用い、投与後60分および90分で比較したところ、60分後わずかな改善が観察され、90分においては、連続学習タスクによって測定した顕在記憶の明らかな改善がみられました。これにより、ホスファチジルコリンが記憶機能の改善に効果があることがわかりました。
出典:Clin Neuropharmacol. 1993 Dec;16(6):540-9.
アルツハイマー型認知症の予防効果
ヨーロッパでは、記憶力とホスファチジルコリンの関係について研究が進み、アメリカでは、脳や記憶に関する栄養素として既に認証がなされています。
認知症薬のアリセプトは、アセチルコリンの減少を防ぎ、さらに増やすため、アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑える・もしくは、遅らせる効果があることで知られています。
ホスファチジルコリンには、アルツハイマー型認知症を抑制するアリセプトと同様の効果があります。
しかし、ホスファチジルコリンを単独で摂取しても腸内で分解されてしまい、身体に吸収されません。そこでホスファチジルコリンをB12と一緒に摂取することで身体に吸収されやすくなります。
【中国】山東大学、濰坊医学院の研究(2016年)
アルツハイマー病ラットを、トビイカの卵から抽出したDHA含有ホスファチジルコリンで30日間処置したところ、リン酸化タウの発現が減少し、ニューロンの形態が回復することが、明らかになりました。皮質および海馬におけるグルタチオンペルオキシダーゼおよび活性酸素除去酵素(SOD)の活性を増加させることにより、アルツハイマー病ラットにおける認知障害を改善することがわかりました。
出典:Curr Top Med Chem. 2016;16(5):558-64.
肝硬変の予防効果
認知症の他にも、ホスファチジルコリンは、細胞膜を作り肝臓に脂肪やコレステロールが蓄積されるのを防いでくれるので、肝硬変の予防ができ、生活習慣病予防にも効果がある成分です。
また、ホスファチジルコリンは乳化作用があるため、細胞内の栄養や要らないものを選別してくれます。
【アメリカ】ブロンクス退役軍人医療センターの研究(1994年)
アルツハイマー病ラットを、トビイカの卵から抽出したDHA含有ホスファチジルコリンで30日間処置したところ、リン酸化タウの発現が減少し、ニューロンの形態が回復することが、明らかになりました。皮質および海馬におけるグルタチオンペルオキシダーゼおよび活性酸素除去酵素(SOD)の活性を増加させることにより、アルツハイマー病ラットにおける認知障害を改善することがわかりました。
出典:Gastroenterology. 1994 Jan;106(1):152-9.
脂肪肝の予防効果
【韓国】ソウル中央大学医学部などの研究(2014年)
C57BL/6マウスに高脂肪飼料を12週間与え、異なる用量でホスファチジルコリンを8~12週間経口投与したところ、トリグリセリドと総コレステロールレベル、および血清中のアテローム性動脈硬化発生指数を低下、または善玉コレステロール対総コレステロール比を増加させ、それにより体重増加および脂質蓄積を明らかに防止し、高脂血症を軽減させました。これにより、ホスファチジルコリンは脂肪性肝疾患(NAFLD)をひきおこす高脂血症変化などの肥満関連合併症を緩和することがわかりました。
出典:Life Sci. 2014 Nov 18;118(1):7-14. doi: 10.1016/j.lfs.2014.09.027. Epub 2014 Oct 16.
高血圧・動脈硬化の予防効果
詰まりかけの血管内にある悪玉コレステロールをホスファチジルコリンの働きで流してくれる上、血管を広げることもできるので血流が改善され、高血圧の予防にも効果が期待できます。
高血圧は、常にストレスがかかり血管が硬くなり傷つきやすくなるため、高血圧を放っておくと動脈硬化の原因にもなります。
【アメリカ】の研究(1981年)
ホスファチジルコリンのアルキルエーテル誘導体(以前は抗高血圧性腎髄質脂質またはAPRLと呼ばれていた)は、経口にて活用できる血管拡張剤です。それらは、末梢血管抵抗を減少し、継続した抑圧効果をもたらすことがわかりました。
出典:Fed Proc. 1981 Jun;40(8):2285-90.
【オランダ】アムステルダム大学の研究(2009年)
健康な男性ボランティア15人に、組換えヒトC反応性蛋白(組換えヒトCRP)(1.25mg kg(-1)体重)の点滴静脈注射を行い、さらにこのボランティアのうち8人に、組換えヒトCRP処置に先行して、ホスファチジルコリンで再構成されたアポリポプロテインA-1(ApoAI-PC; 80mgkg(-1)体重)の点滴静脈注射をしたところ、組換えヒトCRPの方は炎症反応およびトロンビン生成を誘発したのに対し、アポリポプロテインA-1(ホスファチジルコリン)を注入されたグループでは、これらの炎症反応およびトロンビン生成は消滅しました。これにより、ホスファチジルコリンはアテローム性動脈硬化症を予防できる可能性があることがわかりました。
出典:J Thromb Haemost. 2009 Feb;7(2):347-54. doi: 10.1111/j.1538-7836.2008.03175.x. Epub 2008 Oct 1.
美肌への改善効果
【トルコ】バシュケント大学の研究(2004年)
30匹の火傷したラットを対照群、皮膚火傷モデル群、多価不飽和ホスファチジルコリンを21日間経口投与群の3グループに無作為に分け調べたところ、ホスファチジルコリンを与えたグループには平均創傷サイズ指数の明らかな減少がみられ、創傷収縮および創傷治癒を調節しました。これにより、ホスファチジルコリンは、実験的な皮膚の火傷に対して創傷の収縮を防ぐことがわかりました。
出典:J Invest Surg. 2004 Jan-Feb;17(1):15-22.
発達障害(ADHD注意欠如多動性障害)の改善効果
【アメリカ】コロラド大学の研究(2016年)
研究では、二重盲検、プラセボ対照試験を行い、妊娠中における高用量の経口ホスファチジルコリン摂取が、母体羊水コリンレベルを上昇させ、胎児の脳の発達を促進し、結果として、後の精神疾患につながる子供の行動の問題を減らすかどうかを調べました。あることがわかりました。40カ月後、ホスファチジルコリン群(23名)の子供の親評価は、プラセボ群(26名)と比較して、注意障害が少なく、社会的撤退が少ないことがわかりました。この改善は、この年齢において精神分裂症に関連する同様の疾患とほぼ同じ規模でした。子供の行動は、精神病に関連するニコチン性アセチルコリン受容体α7によって緩和され、新生児の増強された脳の抑制機能に関連していました。母親のホスファチジルコリン治療は、ニコチン性アセチルコリン受容体α7を活性化させることにより、精神病を発症のリスクに関係する小児期の行動問題の発症を改める可能性があることがわかりました。
出典:Am J Psychiatry. 2016 May 1;173(5):509-16. doi: 10.1176/appi.ajp.2015.15091188. Epub 2015 Dec 7.
副交感神経が優位になる
アセチルコリンは、脳の記憶機能を活性化させる効果があります。これにより副交感神経が高まり、リラックスした状態で良質な睡眠をとることができます。
疲労を溜めないためにも、アセチルコリンの減少を防ぎ、増やしてくれるホスファチジルコリンを毎日摂取することで心身ともに休めることができます。
ホスファチジルコリン(レシチン)の摂取量
日本ではホスファチジルコリンの1日の摂取目安量は決められておりません。アメリカ農務省(USDA)2008年の調査では、必要摂取量は以下のようになります。
- 成人男性で1日あたり550mg
- 成人女性1日あたり400mg〜425mg
(妊娠期は450mg、授乳期で550mg)
日本人は、ホスファチジルコリンの平均摂取量が300mgしかないため、ホスファチジルコリンの不足が心配されております。
成人男性 | 成人女性 | |
1日の摂取目安量 | 550mg | 425mg |
1日の平均摂取量 | 300mg | 300mg |
1日の不足分 | 250mg | 125mg |
ビタミンB12と合わせて摂取する
1日の過剰摂取の上限値は、成人男女ともに3,000〜3,500mgとなっています。
身体に吸収されやすくなるため、必ずビタミンB12を合わせて摂るようにしましょう。 一度にたくさん摂取するより、適量を毎日続けることが大切です。
ホスファチジルコリン(レシチン)の摂取方法
【1】卵黄などを食べる
ホスファチジルコリン(レシチン)を身体に取り入れるためには、卵黄を食べることで摂取することができます。
Lサイズの卵1個あたりの重量は64g〜70g(殻を含む)になります。
食品100gあたりのホスファチジルコリン含有量 | |
卵黄(生) | 630mg |
牛レバー | 400mg |
鶏レバー | 300mg |
全卵(生) | 250mg |
大豆 | 130mg |
ホスファチジルコリン(レシチン)はそのほか、牛・豚・鶏肉、豆類、ブロッコリー、トウモロコシ、ほうれん草などにも多く含まれています。
【2】サプリメントで摂る
ホスファチジルコリン(レシチン)が一番多い卵黄を毎日食べるのは現実的に厳しいため、いつでも摂取できるサプリメントがおすすめです。
しかし、サプリはメーカーによって含有量が違ったり製造方法などさまざまですのでよく確認してから購入しましょう。
参考 サプリメントを摂取するメリット・デメリット|知らない人は要注意!
ホスファチジルコリン(レシチン)の副作用と飲む際の注意点
用法・用量を必ず守って摂取する
重大な副作用は、報告されていませんが、長い期間にわたり大量のホスファチジルコリンを摂取し続けた結果、胃腸の不調や嘔吐などの症状が出る場合もあります。サプリなどで取り入れる場合、用法・用量を必ず守るようにしましょう。
稀に体臭がキツくなる場合がある
もう1つ気になるのは、汗、尿、息から腐った魚のような匂いを発し、体臭がキツくなるということです。これは、匂いの元になるトリメチルアミンという物質の分解酵素が不足している体質の時に起こります。
欧米に多い症例であり日本人では非常に稀な病気で、身体的にまったく問題はありません。万が一、症状が出た場合は、ホスファチジルコリンの摂取量を減らすことで治るためご安心ください。
おわりに
ホスファチジルコリンは、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの生成に必要な栄養素です。摂取量を適切に取り入れることで、アルツハイマー病の発症リスクを下げることができます。