レビー小体型認知症の治療法を公開!

認知症の種類

レビー小体型認知症の様々な症状に対する治療法は、介護・看護の工夫や適した作業などの「非薬物療法」と、認知症治療薬等を使った「薬物療法」の2つに大きく分けられます。

非薬物療法は周辺症状の軽減に有効として、認知症治療のガイドラインでも推奨されており、一方認知症治療薬等を使った薬物療法は、認知症の中核症状ついて効果的とされています。

非薬物療法と薬物療法にはどのようなものがあるのか?ここでは効果や副作用をご説明します。

レビー小体型認知症の非薬物療法とは?

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薬を使わず、患者の症状の改善に働きかけるのが非薬物療法です。例えば、以下のようなものがあります。

  • 【運動療法】
    身体機能の低下防止や改善、適度な運動による脳の活性化などが期待される療法
  • 【学習療法】
    例えば脳の機能低下を防ぐための、読み書きや計算などを行う
  • 【音楽療法】
    例えば音楽を聴いたり、一緒に歌ったりする療法。心を穏やかにして攻撃性が抑えられたり、記憶を回復させる働きもあるとされる
  • 【ペット療法】
    例えば動物と触れ合ったり世話をすることで、情緒を安定させる効果も

他には、うつ症状や不眠、便秘などを改善するための、生活リズムの改善や食生活の改善なども、非薬物療法に含まれます。

他者との交流で認知力を高めることができる?

認知症の発症についてのある研究では、独居などで他人との交流がほとんどない人は、家族と同居したり社会参加するなどで日常的に他人とかかわっている人の、8倍もの発症率がある、という報告もあるそうです。つまり、他人とのコミニュケーションは、それほど脳の働きにも影響していると考えられます。

認知症によってダメージを受けた神経細胞は、元には戻りませんが、脳には「代償機能」があり、これは残された部分がダメージで失われた機能に代わって働く、というものです。非薬物療法の効果として期待されることは、こうした脳や身体の残された能力や機能を強めることと言えます。

他者と交流しながら運動や学習を行い、脳を活性化し良い体調を維持することは、患者の状態の安定や、介護者の負担軽減につながります。薬物療法と組み合わせることで、より良い効果も期待できます。

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レビー小体型認知症に対する薬物療法

次に、レビー小体型認知症に見られる「認知症症状」「妄想・幻覚症状」「パーキンソン症状」の三つに対する薬物療法について、使われる薬とその使用法や副作用などについて説明します。

記憶障害や情動障害などの認知症症状を改善させるための代表的な治療薬として「アリセプト」「リバスタッチ」「メマリー」についてみていきましょう。

レビー小体型認知症の認知症症状の治療

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アリセプトとは?

「アリセプト」(一般名=塩酸ドネぺジル)はエーザイ株式会社が開発・販売しているコリンエステラーゼ阻害薬で、以前からアルツハイマー認知症の治療に適用されてきた薬です。近年になってレビー小体型認知症への効果も認められ、2014年9月より保険適用になりました。

認知症患者の脳では、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの減少が認められますが、これはアセチルコリンエステラーゼという酵素の働きで、アセチルコリンが酢酸とコリンに分解され、減ってしまうことによります。

元々、アセチルコリンエステラーゼは、余分なアセチルコリンを減らすために必要な物質ではあるのですが、患者の脳ではアセチルコリンが通常より減少しているのに加え、必要なものまで分解してしまう状態になっているのです。

コリンエステラーゼと呼ばれる酵素には、アセチルコリンエステラーゼ(真正コリンエステラーゼ)とブチリルコリンエステラーゼ(偽コリンエステラーゼ)の2種類ありますが、前者は神経組織に存在しアセチルコリンを分解、後者は肝臓や血清に存在しアセチルコリン、その他のコリンエステル類も分解します。

アリセプトの効果

このアリセプトは、その神経組織に存在するアセチルコリンエステラーゼの働きを阻害することで、アセチルコリンの分解を抑制します。神経伝達物質であるアセチルコリンの量を保つことで、神経伝達の機能を強めます。

関連記事 アリセプト、メマリー、リバスタッチ、レミニールの効果や副作用を比較!

リバスタッチとは?

リバスタッチ(一般名=リバスチグミン)は小野薬品工業が2011年から販売している、コリンエステラーゼ阻害薬です。一番の特徴は経口投与の薬ではなく、貼るタイプの薬剤であることです。同様の認知症に対するパッチ製剤として日本で販売されているものには他に、ノバルティスファーマ株式会社のイクセロンパッチがあります。

これらの薬とアリセプトとの効果の違いは、アリセプトがコリンエステラーゼと呼ばれる酵素のうちアセチルコリンエステラーゼのみに作用するのに対して、リバスタッチ(とイクセロンパッチ)は、もうひとつのブチリルコリンエステラーゼにも作用する点です。

リバスタッチの効果

アリセプトよりも興奮作用が少ないこと、経口投与ではないので食事の時間等を気にすることなく使用が出来ること、吐き気や食欲不振など消化器系の副作用が出にくいことなど、周辺症状を含めた副作用が強く出た患者に対しては、多くのメリットがある薬剤と言えます。

しかし、この薬はアルツハイマー認知症(軽度~中等度)への適用はありますが、レビー小体認知症は適用外となります。そのため、使用については医師の慎重な判断と、本人や家族の同意が必要です。

メマリーとは?

メマリー(一般名=メマンチン)は第一三共株式会社が2011年に発売した、中等度~重度のアルツハイマー型認知症に適応する、NMDA受容体拮抗薬です。

アリセプトが作用するアセチルコリンと同じく、「グルタミン酸」も脳内の情報伝達に必要な物質ですが、アルツハイマー型認知症の患者では、脳内でグルタミン酸の働きが過剰になっていることが明らかになっています。

グルタミン酸の濃度が上がり続けることで、NMDA受容体が活性化、その働きにより神経細胞へカルシウムが過剰に流れ込むことで、神経細胞が破壊されます。

メマリーの効果

メマリーにはこの「NMDA受容体」の働きを一部遮断して、グルタミン酸の量を正常な状態にする効果があります。興奮やイライラ、徘徊などの周辺症状に有効とされ、レビー小体型認知症患者への効果も報告されています。

メマリーの有用な点は、効能の違いからアリセプト等のコリンエステラーゼ阻害薬と併用できることです。一つの薬剤では効果が出ない場合には、より良い効果を期待できる貴重な選択肢となります。

メマリーもリバスタッチ等と同じくアルツハイマー型認知症には適用が認められているものの、レビー小体型認知症には、まだ保険適用はなされていません。(2015年10月時点)

レビー小体型認知症の妄想・幻覚症状の治療

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抑肝散の効果とは?

抑肝散は漢方薬で、7つの生薬(自然の植物などの成分)から出来ています。

イライラや神経の高ぶりを抑え、不眠症などに効果があり、子供や更年期障害の女性、睡眠障害の患者などに多く処方される薬ですが、認知症の興奮、妄想、幻覚などにも効果が報告され、使用されるようになりました。

病院で処方されるものは、ツムラ株式会社が販売している漢方製剤の「ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)」などが一般的です。他には大杉製薬株式会社の「オースギ抑肝散料エキスTG」などもあります。

この薬のメリットは、漢方薬なので他の西洋薬と併用できること、向精神薬を使えない患者にも使用できること、副作用が少ないことなどです。

抑肝散の服用量、副作用について

ツムラ抑肝散の場合、通常は1日7.5mgを2~3回に分けて服用します。

副作用で多いのは、発疹、かゆみ、食欲不振、吐き気、下痢などの症状です。

また、稀に副作用として以下の症状が現れることがあり、カッコ内の初期症状が見られます。

  • 間質性肺炎(発熱、呼吸困難)
  • 偽アルドステロン症(尿量の減少、むくみ、手足のこわばり)
  • 心不全(動悸、めまい、倦怠感)
  • 肝機能障害(黄疸=皮膚や白目が黄色っぽくなる)など。

これらの症状が出た場合には、すぐに医師へ連絡しましょう。

パーキンソン症状の治療

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パーキンソン症状には、神経伝達物質のひとつであるドーパミンが関わっています。

パーキンソン症状を抑えるためには、ドーパミンの働きを強める薬を投与するのが基本なのですが、この抗パーキンソン病薬と、先に説明したアリセプトなどアセチルコリンの働きを強める薬には、拮抗作用があるとする説があります。

つまり、ドーパミンとアセチルコリンのどちらかの働きを強めると、どちらかが弱まる、という作用なので、パーキンソン症状と認知症状のどちらの改善を優先するか、よく考慮しながら、処方のバランスをとる必要があるといわれています。

レボドパの作用

パーキンソン症状の治療薬であるレボドパ製剤には、散剤や錠剤、注射薬など、各社から多くの種類が販売されています。

この薬のおもな作用は、脳内に入ってドーパミンに変化することで、ドーパミンの不足による筋肉のこわばりや手足の震えなどのパーキンソン症状を改善させます。

レボドパの副作用

突発的な傾眠や不安・不眠・抑うつなどの精神症状が現れることがあります。また、長期に使用を続けるうちに、効果が次の投薬まで続かないことや、急激に症状が変動するなどの現象が現れることがあります。

レビー小体型認知症患者への薬物療法に関する注意点

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薬の過敏症とは?

薬物療法を行うにあたって、注意が必要なのは、薬剤への過敏症です。

レビー小体型認知症患者では、薬に対して過剰に反応してしまう(効きすぎてしまう)ことがあり、少しの量の治療薬で高い効果が出るだけならばよいのですが、逆に副反応が出て症状が悪化することがあります。薬の種類や量が増えるほど、過敏症が現れやすいと言われているので、注意が必要です。

薬の種類を医師に伝える

高齢の認知症患者では、他の病気でも受診し薬の処方を受けていることが多く、中には効果に影響する薬の組み合わせもあるため、飲んでいる薬の種類を把握し、医師や薬剤師に伝えることも、副作用を防ぐポイントになります。

処方された薬の履歴である「お薬手帳」は、通院の際は忘れずに持参し、処方を受ける際に記帳してもらうようにしましょう。

おわりに

薬物療法は、厳密には病気そのものの進行を抑えるとは言えませんし、もちろん認知症を完治させるものでもありません。レビー小体が増加するメカニズムや原因もまだ研究段階なので、決定的な治療法は見つかっていないのが現状です。

しかし認知機能をある程度改善させ、症状の進行を抑制することが出来るので、非薬物療法(身体に働きかけるリハビリテーションや、心理的に働きかける音楽療法などのほか、ゲームやレクリエーションなど人と交流する活動など)とも組み合わせることで、患者本人の生活の質を高めたり、介護者の身体的・精神的な負担を減らすことは十分可能です。

認知症治療に関する研究は日々進歩しており、最近では2014年に、脳こうそくの再発予防に使用される、抗血小板薬「シロスタゾール」が、認知症の進行抑制に有効という研究結果も明らかになりました。

こうした研究にも期待しながら、患者に合った治療法を模索し、家族にとっても患者本人にとっても、出来るだけ穏やかで心豊かな時間を過ごせるような、介護を実現していきたいものです。

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