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レビー小体型認知症の原因と症状を徹底分析!

(最終更新:2017年11月2日)
レビー小体型認知症の原因と症状を徹底分析!

レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」という特殊なたんぱく質が出来て、神経伝達が阻害されることで起こります。そして初期・中期・後期と、出現する症状が変化しながら徐々に進行していき、進行の全過程は7年~10年以内で、他の認知症に比べると病状の進行が早いと言えます。

それでは、レビー小体が出来ることで、どのように神経の伝達が阻害されるのでしょうか?また、どのような段階を経て症状が進んでいくのかを詳しく見ていきましょう。

レビー小体型認知症の原因

レビー小体がおもに脳幹部分に現れるパーキンソン病と、思考の中枢である大脳皮質にまで広がるレビー小体型認知症は、共に「レビー小体病」とも言われ、基本的に同じ病気とされています。

レビー小体が脳内に溜まることで脳の萎縮が起こり、神経細胞が何らかのダメージを受けて、認知機能や運動機能などに様々な障がいや症状が現れるのですが、では神経細胞とはどのようなものなのかを詳しく見てゆきましょう。

レビー小体が脳内に溜まる原因とは?

なぜレビー小体が溜まるのか、という原因にはいくつかの説があります。

例えば、細胞の活動に必要なエネルギーを供給する働きを持っている「ミトコンドリアに何らかの異常が起きたため」という説。

また、年齢を経たために起こる「遺伝子の損傷が原因」という説などですが、いずれの説も研究段階で原因の確定には至っていません。

たんぱく質が関係している?

しかし、日本での研究が進んだ結果、レビー小体は「アルファシヌクレイン」というたんぱく質がリン酸化されて集まったもの、ということがわかってきました。

レビー小体型認知症という認知症の存在を明らかにしたのも日本の医師ですから、今後もこの認知症の研究が日本で進んで行けば、近い将来に原因も解明されるときが来るかもしれません。

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神経細胞の仕組みと働き

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神経細胞は、<細胞体><樹状突起><軸索>が一つのかたまりとなってニューロンと呼ばれており、脳からの命令を伝達する役割を持っています。

脳内に膨大な数があるニューロン同士は、それぞれが僅かに離れて存在しています。

脳から出た命令は電気信号となって伝わるのですが、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンなどの神経伝達物質と呼ばれる物質が、ニューロンの軸索の枝部分から出て、離れた別のニューロンの受容体に信号を伝達します。

その後、神経伝達物質は、また神経に取り込まれて再度利用される、というのが交感神経で情報が伝わる仕組みです。

認知症状が出る原因

しかし、レビー小体が溜まると、交感神経の機能が低下して、この物質の再利用が上手くいかなくなるため、神経伝達物質が減少してゆきます。

特に、脳の線条体の中に多くあるドーパミンが不足することで、情報の伝達が困難になり、認知症の症状が現れると考えられます。

レビー小体型認知症の前兆

どんな人がかかりやすいの?

では、このレビー小体認知症にかかりやすいのは、どのような人かというと、一般に女性より男性の方がかかりやすいと言われ、男性患者は女性の約2倍となっています。

また、生真面目・几帳面な性格の人がなりやすい、という説もありますが、これはうつになりやすい性格とも重なっており、何年も前から前兆として現れる症状のひとつである「うつ症状」と関わりがあるのかもしれません。

前兆に見られる症状とは?

その他にも前兆として現れる症状があるので、身近な家族が知っておくことは、早期発見という大きなメリットにつながります。他の病気と良く似た症状が多いレビー小体型認知症を、別の疾患と間違うことなく、すぐに適切な治療につなげることができるからです。それでは、初期症状以前の前兆について見ていきましょう。

前兆の臨床症状として挙げられるのは

  • 便秘
  • 抑うつ状態
  • 嗅覚障害(匂いを感じづらくなること)

などですが、この症状だけを見ると、一般的によくある体調不良と、それほど大きな違いは無いように思えます。

特に、便秘や嗅覚障害は10年近く前から、抑うつ状態も約5年前から現れるといわれていて、それほど前の段階に、その症状だけでレビー小体型認知症を疑うのは、難しいかもしれません。

レビー小体型認知症とレム睡眠行動障害の関係性

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そこで、重要になってくるのは「レム睡眠行動障害」です。

ヒトが眠っている時は、浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りであるノンレム睡眠の二つを繰り返しています。夢を見るのはレム睡眠時ですが、正常な場合は夢を見ても体の筋肉の緊張は解かれているので、起きている時のように行動することはありません。

しかし、レム睡眠行動障害になると、夢で見ていることなのに起きている時と同じように体を動かし、手足をバタつかせたり、大きな声で寝言を言うなどの行動が見られます。

夢遊病との相違点は、夢遊病では見た夢の内容等は全く覚えていないのに対し、レム睡眠行動障害では、夢の内容は覚えている一方で、夢遊病患者のように歩き回る、などの行動は無いと言われています。

先の3つの前兆に加えて、このような睡眠時の異常行動が見られたら、レビー小体型認知症のサインとして、専門機関に早めに相談しましょう。

レム睡眠行動障害の対応方法

また、レム睡眠行動障害が現れたときの周囲の対応ですが、大抵の場合は10分以内で収まるので、収まるまで見守っているだけでも良いでしょう。

しかし長く続く場合や、手足の動きが大きく危険な場合は、部屋を明るくしたり、顔に懐中電灯の光を当てる、目覚ましのアラームを鳴らすなどの方法で、目覚めさせます。

からだを揺り動かしたり叩くなどして急に起こすと、夢と現実が混乱して暴れたり、ベットから転落するなどの危険性があるので、注意が必要です。

レビー小体型認知症の初期の症状と適切な対応

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レビー小体型認知症の初期には次の代表的な3つの症状があります。

認知機能の変動とは?

認知機能の変動とは、はっきりとして理性的な状態の時と、通常なら間違うはずのないことを間違うというように、ぼんやりと意識が低下している状態が、日によって、または時間ごとに度々入れ替わることを言います。

例えば意識が低下している時には、以下のようなことがあります。

  • 家族の名前を間違う
  • 自宅のトイレの場所がわからなくなる
  • 薬の管理など、いつもできていることができない、など

認知機能の変動は、長い昼寝のあとや、朝起きた直後、疲れてきた夕方や夜などによく起こります。介護者は患者本人が今どちらの状態なのか把握し、状態に合った適切な対応を取ることが必要です。

状態が良くないときは、無理に話しかけたり働きかけず見守っていること、症状の変動が出来るだけ大きくならないように、適度に体を動かすことや、昼寝をし過ぎない、など規則正しく生活することを心がけましょう。

幻視や幻覚、妄想とは?

とても具体的な幻覚が何度も現れます。本人にとっては現実であるかのように感じるので、そのように行動したり、居ないはずの人と話したりします。

これらの症状には薬物療法が必要になることも多くあります。

幻覚の例

  • 「子供が遊びに来ている」と言って、お菓子の用意をしようとする。
  • 壁や天井に向かって誰かと話している。
  • 「虫がたくさん入ってきて困る」などと、居ない虫を駆除しようとする、など。

幻覚は本人にとっては確かに見えているものなので、周りの人間が否定すればするほど頑なになったり、追い詰められて錯乱する場合もあります。

怖い幻覚を見た場合など、それを否定することで患者本人が安心するようであればいいのですが、そうではない時は否定しないで十分に話を聞くことで、落ち着くことも多くあります。

また、幻視は夜間に部屋の壁に映る影などを見ることで、強くなることもあるので、どんな環境で見えたのかを知り、部屋の明るさや置いてあるものなどに配慮することが必要です。

電灯を影のコントラストが強い蛍光灯から、柔らかい光の白熱灯に変えることや、壁や床のシミを除去することなど、環境を整えることも幻視の軽減につながります。

パーキンソン症状とは?

筋肉や関節部分が硬くこわばったようになり、動かしにくくなる症状です。

歩幅が非常に小さく小刻みになったり、すり足で歩く、歩き始めると曲がることが出来ない、止まれなくなる、などのほか、動作が遅くなる、無表情になる、などの特徴が現れます。

何もないところでつまづいたり、転倒することも多いので、日常生活での注意が必要です。

【屋内での注意】

  • 部屋や階段に手すりを付ける
  • 床に物を置かない
  • コード類はまとめる
  • 床やカーペットの段差をなくす
  • 入浴時やトイレは転倒しないよう介助する
  • 背後から声をかけない(振り向きざまにバランスを崩し転倒することがあるので、正面から話しかけること)など。

【外出時の注意】

  • ズボンの裾が靴などに引っかからないように、短めにする
  • 滑り止めがあり、足にフィットした靴を履く(脱げやすいサンダルなどは避ける)
  • リュックサックなどを使い、両手を使えるようにする
  • 状態によって、杖の使用や介助者の付き添い など。

他には、便秘や尿失禁、起立性低血圧(めまいやふらつき)などの自律神経症状も、初期にはしばしば見られます。

レビー小体型認知症の中期の症状と対策

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中期ではパーキンソン症状がより重くなり、通常の歩行が難しく、転倒などの危険も増すため、介助が欠かせない状態になります。

この時期の転倒には、パーキンソン症状だけではなく、薬の過敏症(薬が効きすぎること)が関わっていることも多いので、患者の様子をよく観察し、薬の副作用にも留意することが大切です。

理解力や認知機能の低下も著しく、会話が通じないようなことも増えてきます。

思うように体が動かないことで、本人のストレスも大きくなり、BPSDと呼ばれる二次的な周辺症状も強く出るようになってきます。

BPSDとは?

脳の神経細胞がダメージを受けることで起こる直接的な症状が<中核症状>と呼ばれるのに対し、BPSDは環境や性格、体の状態などによって起こる二次的な症状で、

<行動症状>と<心理症状>の二つに分けられます。

BPSDによる行動症状とは?

「暴力的になる」

「徘徊」など

*意識が混乱する「せん妄」によって興奮状態になり、暴れたり攻撃的な行動をすることがあります。

BPSDによる心理症状とは?

「人格が変わる」「睡眠の障害」「妄想、幻覚」

*この時期に多い妄想の種類

誤認妄想=過去に経験したことを、今現在もそうであると思い込む
例)会社に勤めていると思い込み出勤しようとする、など
被害妄想=在りもしない被害に遭っていると思い込む
例)家族にお金を盗まれた、嘘をつかれ騙されている、など
嫉妬妄想=猜疑心が強くなり、配偶者の不義を疑う
例)妻(夫)が浮気していると言い張る など

このような妄想に理論的な説得や否定は効果がありません。

妄想に登場する妻(夫)などが、患者本人と適度に距離を置いた上で、ヘルパーやケアマネジャーなど第三者に関わってもらうことが、妄想を軽くするのに有効な方法です。

BPSDへの対処法

これらの行動症状・心理症状に対処するときには、その場しのぎの方法(徘徊させないように部屋に鍵を付ける、暴れるのを押さえつけるなど)を取ることよりも、その症状の根本原因を考えるほうが効果的な場合が多くみられます。

  • 寂しいとか不安というような心理的な要素
  • かゆい・痛いなどの身体的な要素
  • 飲んでいる薬が効きすぎるというような薬への過敏症
  • 音がうるさい・光がまぶしい・匂いが気になるなど環境の問題
  • かつての生活習慣(会社に通勤していた、農作業をしていた)など

原因になっていることを理解したり、問題を解決してあげることで、症状が収まったり起こりにくくなります。

また、暴力的な行動も多くみられる「せん妄」は夜間に多いため、本人や家族のケガを防ぐためにも、壊れやすいもの、危険なものを置かないなど、寝室の環境を整えましょう。

予防・改善の工夫をする

よく眠れるような体調管理(昼寝をし過ぎない、適度に体を動かす、便秘や水分補給に気を配る、薬の副作用に気を付ける)をするなど、日常生活で予防・改善の工夫をすることで、症状が軽減することもあります。

しかし、家族だけでそうした原因を見つけてケアを行うのは難しいので、ヘルパーやケアマネージャー、医師などに相談し連携をとりながら原因を探り、患者に合った適切な介護を行いましょう。

レビー小体型認知症の後期の症状と対策

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後期の段階になると、パーキンソン症状はより一層進み、食事やトイレなど日常生活に必要な、ほぼすべてのことに介護が必要で、車いすの使用が欠かせない状態になることが多く、寝たきりになる場合もあります。

幻視や認知機能の変動はほとんど見られなくなり、いつも意識が低下し意思の疎通が難しい状態になります。

水や食物が飲み込めない嚥下障害が目立つようになるので、誤嚥性肺炎や栄養不良のリスクも高まります。

また、免疫機能の低下から感染症にかかることも多く、呼吸器や循環器の疾患を引き起こして死亡に至ることもあります。

レビー小体型認知症の家族の支援

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何年にも渡る介護になるので、介護者自身が疲弊しては、不適切な介護になりかねず、それは患者にも影響します。そのため、症状や状態によってはヘルパーやデイケア、ショートステイ、時には入院などの方法も使って、介護の負担を家族だけで抱え込まないことです。

この病気の患者を支える家族同士で相談や情報交換・交流が出来る団体や組織が各地にありますので、参加・利用するとよいでしょう。

介護者が精神的・肉体的にも良い状態であることが、良い介護・患者が良い状態を保つことにもつながります。多くの人の知恵や手を借りながら、孤立しない介護を目指しましょう。

*家族の交流・情報交換の団体です。全国各地で勉強会・交流会を行っています。

「レビー小体型認知症サポートネットワーク」

おわりに

レビー小体型認知症を完治させる治療法は、見つかっていませんが、正しい診断を受け、症状の経過に合った適切な看護や介護・薬物療法を行うことによって、症状の悪化を抑えたり、改善させることは可能です。

そのためにも、診断を受けたら早期に医師やケアマネジャーなど専門家と相談し、適した診療計画やケアプランを立てることが必要です。

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