生前整理をしたいんだけど、どうやればいいのかな?
このように
- 生前整理について詳しく知りたい
- 生前整理の正しいやり方を知りたい
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、生前整理とは、生前整理の必要性、生前整理の正しいやり方とポイント、生前整理をする際の注意点、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
生前整理とは
人生のエンディングに向けての準備
生前整理とは、もしもの時に備えて、自分の身の回りの整理をしておくことです。
日常生活で使っている物、思い入れや貴重な価値のある物の処分方法や譲渡先を決めておくことなど具体的な「物」の整理、パソコンやスマホのデータなどの「情報」、クレジットカードや銀行口座、所有している家など「資産」の管理、そのほかエンディングノートの作成などを通して人生の締めくくりをどのように迎えたいか「心」の整理をすることが「生前整理」に含まれます。
つまり生前整理とは、いずれ誰もが迎える人生のエンディングへ向けて準備をしておくことで、自分がどのように生きたいかを改めて意識し、以前にも増してより良い毎日を送ることを目的に行うものです。
高齢化がすすむ現在、生前整理は年齢を経た人だけではなく、高齢の親を持つ世代など幅広い年代にとって身近なものとなり、生前整理アドバイザーという民間資格も登場しています。
なぜ生前整理は必要?「5つのメリットと必要性」
「自分が元気なうちに、希望や意向を子どもや親族に明らかにしておくことが必要」と考え自ら生前整理を行っていたり「高齢の親を持っているので、いずれやってくるその時に備えて実家の生前整理を考えている」という子供世代の方も増えてきています。
では、生前整理をすることで得られる5つのメリットをご紹介します。
もしもの時に備えて準備する
数年前から、不要なものを処分して気持ちよく暮らすことを意味する「断捨離」ということばや、最低限のものだけを持ってシンプルに暮らす「ミニマリスト」という生き方が流行り、自分の生活を振り返り身の回りを整理することが豊かな人生につながる、という考え方に多くの人の共感が広まっています。
自分のもしもの時に備えて準備するという人も多く見られるようになり「終活」ということばもすっかり一般的になりましたが、生前整理は終活の中心になるものであり欠かせない作業です。
家族の負担を減らすため
実際、一人暮らしの高齢者が亡くなった場合、家族・親族には住まいや遺品の整理など、短期間に処理しなければならない多くのことがのしかかり、それは心理的にも経済的にも大きな負担となります。
生前に遺品整理をしておくことで処分費用などを抑えることができるので、残された家族の負担を減らすことができます。
相続関係を整理し家族間の争い避けれる
親が亡くなった時に問題になるのが財産の相続問題です。生前のうちに預貯金・不動産(土地・住宅)などをあらかじめ整理しておくことで相続のトラブルを防止することができます。
また、2012年の段階で65歳以上の認知症有病率は15%といわれていますが、認知症を発症してしまうと、家族は本人の意向を聞き取ることも難しくなってしまい、財産の相続などに支障が出ることもあり得ます。
そのため、生前の間に遺言にして残しておくことをおすすめします。
認知症予防に繋がる
昔のものに触れて思い出したり、家族・自分の人生を振り返る(回想法)ことで脳の働きを活性化させたり、不安や葛藤を緩和し、意欲的に生きることができるなど認知症予防に繋がることが分かっています。
回想法は認知機能の改善だけでなく、周辺症状への効果や統合失調症、うつ病、睡眠障害などさまざまな症状に効果があり、心が安定します。
参考 回想法は認知症高齢者に治療効果大!効果的なやり方と資格や本を紹介
充実した余生を送ることができる
多くの荷物に囲まれて過ごしていたり、処分しなければいけないものがいつまでもあると、精神的な不安が大きくなってしまいます。
荷物を整理することで気持ちも整理され、リラックスしより健康で充実した余生を送ることができやりたいことも増えるでしょう。
生前整理の正しいやり方とポイント
生前整理の目的は
- 資産や情報などを自分の意向の通りに処分もしくは管理してもらうこと
- もしもの時に残された家族にかかる負担を減らすこと
といっていいでしょう。
親に生前整理を勧める場合は、1つ目の理由をあげてその必要性やメリットを説明してみましょう。
実際の作業はこの目的に沿うように「物」「情報」「資産」「心」に関する各部門ごとに整理を行っていきます。
物の整理をする
普段使う食器や衣類の断捨離を行う
頂き物の食器や使わない鍋など、台所には案外無駄なものが何年もそのままになっているものです。この際、必要な人数分、気に入ったもの、よく使う食器だけを残して断捨離してしまいましょう。
衣類も衣替えの機会にしばらく着ていないものを処分し、有効に使ってくれる人へ回すと、部屋のスペースも空き清々しい気分になります。
処分する際は以下のところを使うとわずかながらお小遣いにもなって一石二鳥です。
▼物の整理におすすめ
- 遺品整理業者一覧
- リサイクルショップ
- ヤフオク(オークションサイト)
- メルカリ(フリマアプリ)
貴重品は行き先を決めておく
指輪やネックレスなどの貴金属や高級時計は、家族や友人など行き先を決めておきます。
流行遅れのジュエリーなど使っていないものは、貴金属の買い取り店を利用して売却することもできます。
情報の整理をする
パソコンやスマホのデータ整理
現在、多くの人はスマホやパソコンで連絡先を管理していますが、もしもの時に家族がファイルを開けられず確認できないことも多いので、知らせてほしい友人・知人の連絡先は紙の住所録にまとめて書いておくのが確実です。
写真データも同様で、あるはずの本人の近影や思い出の写真を家族が取り出せない、ということにならないよう、パスワード等を書き残したり、気に入った写真は厳選してプリントしておき、メールなど普段からデータをこまめに整理しておきましょう。
遺品整理業者であれば、データを取り出し整理・保存してくれます。
項目 | やってくれること |
連絡先・アドレス | 五十音順にフォルダ分けして保存 |
メール | 年度別・月別にフォルダ分けして保存 |
写真 | 年度別・月別・日付別にフォルダわけして保存 |
また、自分の死後見られたくないデータの処理に、自動削除ソフトを利用するという方法もあります。
これは、設定した一定期間パソコンが起動されないと、指定のデータを自動で削除するものです。
参考 フリーソフト100 – 無料死亡時自動削除・遺言ソフト一覧
参考 Vector – ファイル管理・削除
SNSやブログのアカウント管理
登録した本人が亡くなった後のアカウントの管理については、あまり対応が整ってはいないのが現状で、管理者が居なくなり更新されなくなったSNSやブログは、放置しておくとアカウントの乗っ取りに遭い、有害サイトへの誘導に悪用されてしまうことが多くあります。
それを防ぐためには「追悼アカウント」として家族に引継ぎ管理してもらうか、信頼できる人に「アカウント削除」について依頼しておくなど対策が必要です。
利用していたSNSなどのアカウントやパスワードの一覧をエンディングノートなどに記載し、安全なところに保管します。
その他、月額料金がかかる動画サイトやオンラインサービスなど退会手続きが必要なものについても記載しておきましょう。
資産の整理をする
銀行口座
本人が亡くなった後、銀行口座は家族の申告によっていったん凍結されます。凍結後は相続が確定すれば預金を受け取ることができますが、葬儀などでまとまったお金がすぐに必要になる時には、相続手続きを待っていては不都合なこともあります。
そのため、ある程度のお金をもしもの時に備えて家族名義の口座に移しておく、よく使う普通口座の管理を家族に依頼しておくとスムーズです。
また、通帳のないネット銀行の口座は家族も存在を知らないことが多く、特にその口座を使った株取引などがトラブルのもとになることもあります。ネットでの金融取引を家族が誰も知らず、死後もそのまま放置されていた結果、大きなマイナスになり家族の負債となってしまう、というような例もありますので、ネット上の口座の情報も有形の通帳などと一緒に貴重品として管理するようにします。
家・土地
子供が独立した後、実家に親が住み続けている場合、年齢とともに使い勝手も悪くなってくるものです。
- 階段や段差が気になる
- 広すぎて掃除が大変
- 暖房費がかかる
持ち家の場合は、「年をとっても安心して住めるような住宅」や「老人ホームへ住み替える」ことも、生前整理のひとつと言えます。
いずれは考えなければいけない家や土地の処分については家族間で早めに話し合い、方向性を定めておくことです。
心の整理をする
自分の生き方を振り返り、もしもの時に活用できるのがエンディングノートです。
これには、知らせてほしい人の連絡先や葬儀の希望、資産管理についてなど具体的な情報のほかに、思い出に残っていることや親しい方へのメッセージ、自身の半生なども書いておくことができます。
最近は豊富なデザイン・種類のエンディングノートが市販されているので、好みのものを購入しておくと、時間があるとき・気が向いたときに、少しずつ作成することができます。
生前整理をする際の注意点
自分で行う場合
これまで生きてきたなかで得てきた多くの物を整理していくには、なかなか体力も要りますし、気持ちが揺れ動くようなこともあります。ですから、いっぺんにすべて片付けようとせず、掃除のついでや衣替えの時などに、少しずつ無理のない作業をするように心がけます。
特に写真や手紙の整理やエンディングノートの記入など、思い出や心に関する作業は、十分に時間があるときにリラックスしながら行うと負担になりません。
また資産の相続については、エンディングノートの記載だけでは法的な効力がないので、特に意向や希望があるときは遺言として残しておく必要がありますので、弁護士や公証役場などに相談しましょう。
親に生前整理を勧める場合
生前整理を勧める場合に、亡くなった後のことを前提にした言い方だと、やはりいい気持ちはしませんし傷つくものです。
まずは普段から親と会話するように心がけ意思の疎通を図っておくことと、生前整理の必要性についても、老後の生活をより安心して暮らせるように、といった前向きな提案になるように伝え方を工夫します。
その際、こちらの意見を押し付けるのではなく、まず親の希望を聞いてできるだけ意向に沿った妥協点を見いだせるように努めます。家族とはいえ親の持ち物を勝手に処分するのは、その後の関係にも大きく影響しますので、必ず承諾を得ることが重要です。
また、認知症になって本人が財産管理できなくなった時のための「成年後見人制度」が良く知られていますが、本人がまだ元気なうちに管理や処分を家族に託しておく「家族信託」という制度もあります。
これは成年後見人制度よりも財産管理が柔軟にできるメリット等もありますので、こうした話題から生前整理を勧めてみることもいいでしょう。
おわりに
若くして亡くなった有名人の影響もあり、自分は人生の最後をどのように過ごしたいか、ということを、20代30代の人でも話題に取り上げるようになりました。
誰にでも訪れる人生の終わりを考えることは、じつは現在の自分の生き方を見直す良いきっかけにもなります。
一度しかない人生ですから、生前整理を通して自分らしいより良い生き方を見出し、一層充実した毎日にしていきたいものですね。