2017年4月 指定難病に24疾患追加|医療費助成のポイントを解説

制度

2017年4月から指定難病に24疾患加わることが厚生労働省の指定難病検討委員会で決定しました。

ここでは、そもそも難病とはなんなのか?指定難病とは?医療費助成を受けるために必要なことは?指定難病の自己負担分は?などなど1つずつわかりやすく説明していきたいと思います。

指定難病が合計330疾患に

2016年に行われた指定難病検討委員会で7月に9疾患、8月に8疾患、9月に7疾患が追加方針が決まり、2017年に厚生科学審議会と疾病対策部会で了承され2017年4月から24疾患が医療費助成される予定となっております。

指定難病に追加される24疾患

指定難病に追加される24疾患は以下になります。

  • 1.カナバン病
  • 2.進行性白質脳症
  • 3.進行性ミオクローヌスてんかん
  • 4.先天異常症候群
  • 5.先天性三尖弁狭窄症
  • 6.先天性僧帽弁狭窄症
  • 7.先天性肺静脈狭窄症
  • 8.左肺動脈右肺動脈起始症
  • 9.爪膝蓋骨症候群(ネイルパテラ症候群)/LMX1B関連腎症
  • 10.カルニチン回路異常症
  • 11.三頭酵素欠損症
  • 12.シトリン欠損症
  • 13.セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症
  • 14.先天性グルコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症
     (既存の指定難病との整合性を図るため、先天性GPI欠損症から名称変更)
  • 15.非ケトーシス型高グリシン血症
  • 16.β-ケトチオラーゼ欠損症
  • 17.芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素欠損症
     (小児慢性特定疾患の疾病名との整合性を図るため、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症から名称変更)
  • 18.メチルグルタコン酸尿症
  • 19.遺伝性自己炎症疾患
  • 20.大理石骨病
  • 21.特発性血栓症(遺伝性血栓素因による)
  • 22.前眼部形成異常
  • 23.無虹彩症
  • 24.先天性気管狭窄症

これで指定難病は306疾患から24疾患が追加され330疾患になります。

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難病とは?

昔は医学が未発達だったこともあり不治の病とされてきた病気(結核やコレラなど)を「難病」と言っていましたが、医学の進歩によって治療法が確立され、治療ができる病気も増えてきました。

しかし、現代の医学でも治すことが難しい、原因不明、治し方がわからない、経済的負担が大きい、厄介な慢性の疾病のことを「難病」と指します。

特定疾患とは?

難病はもともと一般社会で使われてきた言葉であり、医学的な用語ではありません。

医学的に難病は「特定疾患」や「難治性疾患」ともいいます。「特定疾患」は、厚生労働省が実施する「難治性疾患克服研究事業」の対象に指定された332疾患のことをいいます。

難病の定義とは?

難病には、「ここからここまでが難病ですよ」といった明確な線引きは無く、世界的に見ても各国によって定義や医療費支援制度の内容も違ってきます。

欧州各国の医療制度の概要

それでは、日本においての難病の定義を見てみましょう。

1972年10月、厚生省によって策定された難病対策要綱による「(旧)難病の定義」は以下になります。

(旧)難病の定義
①原因不明、治療方法未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病
②経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家庭の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病

上記からおおよそ40年後に、難病についてより明確化して定義されました。

2015年1月1日に難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)が施行し、さらに一新された「(新)難病の定義」は以下になります。

(新)難病の定義
①発病の機構が明らかでなく
②治療方法が確立していない
③希少な疾病であって
④長期の療養を必要とするもの

※患者数等による限定は行わず、 他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進する。
例:悪性腫瘍は、がん対策基本法において体系的な施策の対象となっています。

出典:厚生労働省第14回 指定難病検討委員会資料

難病の定義の新旧を比べてみると、古い定義には、希少性の概念がなかったようです。

現在、世界では希少難病は7000種以上あると言われており、日本はヨーロッパやアメリカとOrphanetオーファネット:海外の希少難病ポータルサイトのため全て英語です)を通じて研究情報を交換しながら希少難病対策を行っています。

難病対策要綱が策定

難病が広く知れ渡ったきっかけ

1958年、北海道の釧路からはじまった薬害スモンが多発して社会問題になったことをきっかけに「難病」が一般社会へ浸透しました。スモンは整腸剤キノホルムを服用することで起こり、歩行障害や内臓障害、視力障害などさまざまな症状をきたし、日常生活機能が低下してしまう神経障害です。

1971年に原因が判明し激減しましたが、2010年時点でまだ2,000人ほどの患者さんが確認されています。

難病の対策の進め方

このスモン事件をきっかけに「難病にかかる医療費を公費で負担するべき」「難病患者を救済するための研究をするべき」などの声が多かったことから、

1972年10月、難病患者のおかれている状況にかんがみ、総合的な難病対策を実施する「難病対策要綱」が策定され、5本の柱を基盤に各種の事業が推進されています。

調査研究の推進
  • 難治性疾患克服研究事業(332疾患が対象)
  • 再生医療実用化研究事業
  • 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究
  • 障害保健福祉総合研究事業
  • 子ども家庭総合研究事業
医療施設等の整備
  • 国立精神・神経センター経費
  • 重症難病患者拠点・協力病院設備
  • 独立行政法人国立病院機構の医療機器整備等
  • 重症心身障害児(者)施設整備
  • 進行性筋萎縮症児(者)施設整備
医療費の自己負担の軽減
  • 特定疾患治療研究事業(306疾患が対象)
  • 小児慢性特定疾患治療研究事業(704疾患が対象)
  • 育成医療
  • 更生医療
  • 重症心身障害児(者)措置
  • 進行性筋萎縮症児(者)措置
地域における保健医
療福祉の充実・連携
  • 難病特別対策推進事業
  • 難病相談・支援センター事業
  • 特定疾患医療従事者研修事業
  • 難病情報センター事業
QOLの向上を目指した
福祉施策の推進
  • 難病患者等居宅生活支援事業

「難治性疾患克服研究事業」と「特定疾患治療研究事業」の違い

上記で特に注目してほしいのが、「難治性疾患克服研究事業」と「特定疾患治療研究事業」です。文字だけ見るとなんとなく似て見えますが、別物の事業になります。

難治性疾患克服研究事業・・・難病の研究開発
特定疾患治療研究事業・・・難病患者の医療費助成

 難治性疾患克服研究事業
事業内容 「難病患者を救済するための研究をするべき」で実施された事業。
根本的な治療法が確立しておらず、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない難治性疾患について、
病状の進行の阻止並びに患者の身体機能の回復及び再生を目指した画期的な診断法及び
治療法の研究開発の推進に資することを目的とする研究のことです。
実施主体
対象疾患 当初130疾患
2015年1月151疾患
2015年7月332疾患
備考 当初130疾患の中から56疾患が特定疾患治療研究事業の対象になりました。
 特定疾患治療研究事業
事業内容 「難病にかかる医療費を公費で負担するべき」で実施された事業。
難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患130疾患のうち、原因が不明であって、
治療方法が確立していない、いわゆる難病のうち、治療が極めて困難であり、かつ医療費も
高額である疾患について、医療の確立、普及を図ると共に、患者の医療費の負担軽減を図る事を
目的としています。
実施主体 もともと都道府県
2015年の難病法施行により国と都道府県
それぞれ1/2負担になった
対象疾患 当初56疾患
2015年1月110疾患
2015年7月306疾患
備考 1972年 治療研究の患者に月1万円の協力謝金を支給
1973年 自己負担分を全額公費負担
2015年の難病法施行により「医療費助成制度」として生まれ変わる

難病法とは?

難病法ができた経緯

難病法ができた経緯は、年々、特定疾患治療研究事業の対象患者数が増え続け、さらに難病対策の予算を増やさなければいけなく、実施主体である都道府県(自治体)の負担増が起こりました。

法律に基づかない予算事業として行ってきた特定疾患治療研究事業は、破綻寸前であったため、法定化し消費税の収入を難病患者の医療費助成に充て公平で安定的な制度を確立し実施できるようになりました。

難病医療費助成制度とは?

平成26年5月23日成立した難病法は「難病の患者に対する医療等に関する法律」ともいいます。平成27年1月1日から施行された(旧)特定疾患治療研究事業に代わる新たな制度が「難病医療費助成制度」です。

指定難病とは?

難病法では、医療費助成の対象疾患のことを「指定難病」といいます。指定難病の定義は、上記で紹介した難病の定義に2条件が追加されています。

(新)難病の定義
①発病の機構が明らかでなく
②治療方法が確立していない
③希少な疾病であって
④長期の療養を必要とするもの

※患者数等による限定は行わず、 他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進する。
例:悪性腫瘍は、がん対策基本法において体系的な施策の対象となっています。

出典:厚生労働省第14回 指定難病検討委員会資料

指定難病の定義

難病のうち、患者の置かれている状況からみて 良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いもので、 以下の要件の全てを満たすものを、 厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定

⑤患者数が本邦において一定の人数に達しないこと
⑥客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

指定難病の数は?

指定難病の数は、当初56疾患でしたが、年々対象が増えて2015年7月から拡大され306疾患に指定されてます。2017年4月からはさらに24疾患増え、330疾患になります。

対象者が増えて嬉しい反面、指定難病から外れてしまった希少難病の方々もいらっしゃいます。世界には7000もの希少難病があるため、今後より多くの希少難病が対象になることを願います。

306疾患については難病情報センターに記載されています。

指定難病の一覧はこちら(難病情報センター)

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特定医療費(指定難病)受給者証とは?

指定難病と診断された方が医療費の助成を受けるためには「特定医療費(指定難病)受給者証」が必要になります。都道府県に必要書類を申請することで医療費の助成が受けられます。

有効期限は1年間となっており、期限が近くなると更新のお知らせが届きます。

特定医療費(指定難病)受給者証の申請方法

①都道府県のHPまたは保健所か自治体に行き「臨床調査個人票」を入手する

②難病指定医に「臨床調査個人票」を渡して診断書「臨床調査個人票」を書いてもらう
 難病指定医を調べるにはこちら(難病情報センター)

③お住まいの市区町村の窓口へ「申請書類一式」を提出する(下記の表を参照)

④市区町村から都道府県へ送付

⑤都道府県が審査する

⑥認定の場合は受給者証が送付。基準を満たさない場合は非認定通知書が送付。
※認定の結果が出るまで3ヶ月ほどかかる場合があります。

⑦指定医療機関で「受給者証」を見せると、医療費の助成を受けることができます。
 指定医療機関はこちら(難病情報センター)

申請書類一式
申請書 特定医療費の支給認定申請書
診断書 臨床調査個人票
住民票 申請者及び下記により保険証の写しなどを確認する必要がある構成員が全員含まれて いる住民票
世帯の所得を
確認できる書類
市町村民税(非)課税証明書等の所得状況が確認できる書類
保険証(写しなど) 被保険者証・被扶養者証・組合員証などの医療保険の加入関係を示すもの。
※ 保険証の写し
・患者が国民健康保険又は後期高齢者医療制度に加入している場合は、世帯全員分
・患者が上記保険以外(健康保険組合、協会けんぽ等)に加入している場合は、当該患者分
(患者が被扶養者の場合は、被保険者本人分も併せて必要)
医療保険の
所得区分確認書類
同意書(医療保険の区分確認)
その他必要に応じて
提出が必要な書類
人工呼吸器等装着者であることを証明する書類
世帯内に他に特定医療費又は小児慢性特定疾病医療費の受給者がいることを証明する書類
医療費について確認できる書類
※ 「高額かつ長期」又は軽症高額該当に該当することを確認するために必要な領収書等

医療費助成の内容

自己負担割合は?
自己負担上限額はどうやって設定されるの?
所得把握はどうやってするの?
入院時の食費は?
高額な医療が長期的に継続する場合は?
軽症者の医療費助成は?
経過措置はある?

認定された場合の医療費負担はこう変わる

特定医療費の支給認定された場合、今までとどれくらい医療費負担が変わってくるのか。

「認定前」と「認定後」の医療費負担を階層区分(適応区分)ごとに比較しましたので参考にしてください。

認定前の医療費負担
高額療養費制度(70歳未満) 
自己負担割合:3割
  外来+入院
低所得者 (住民税非課税) 35,400円
[多数該当24,600円]
標準報酬月額 26万円以下 57,600円
[多数該当44,400円]
標準報酬月額 28万~50万円 80,100円+(医療費- 267,000円)×1%
[多数該当44,400円]
標準報酬月額 53万~79万 167,400円+(医療費- 558,000円)×1%
[多数該当93,000円]
標準報酬月額 83万円以上 252,600円+(医療費- 842,000円)×1%
[多数該140,100円]
食費:全額自己負担
(参考) 健康保険における入院時の食費
・一般世帯:260円/食
(この他、所得等に応じ210円、160円、100円)
認定後の医療費負担
原 則
自己負担割合:2割
  外来+入院
  一般 高額かつ
長期
人工呼吸器
等装着者
 生活保護 0円 0円 0円
低所得Ⅰ
市町村民税非課税
(~本人年収80万)
2,500円 2,500円 1,000円
低所得Ⅱ
市町村民税非課税
(本人年収80万超~)
5,000円 5,000円
一般所得Ⅰ
市町村民税
課税以上7.1万未満
(年収約160~約370万)
10,000円 5,000円
一般所得Ⅱ
市町村民税
7.1万以上25.1万未満
(年収約370~約810万)
20,000円 10,000円
上位所得
市町村民税
25.1万以上
(年収約810万~)
30,000円 20,000円
食費:全額自己負担(参考)
健康保険における入院時の食費
・一般世帯:260円/食
(この他、所得等に応じ210円、160円、100円)
関連記事 2017年8月 高額療養費制度改正|限度額引き上げのポイントを解説

 

指定難病の自己負担割合は?

特定医療費は、医療保険制度、介護保険制度の給付が優先されます。通常は、医療費の7割を医療保険が負担、残りの3割を患者が自己負担ですよね。

特定医療費の支給認定を受けた場合は、指定医療機関での窓口負担が、自己負担上限額(月額)までになります。 ただし、自己負担上限額と医療費の2割を比較して、自己負担上限額の方が上回る場合は、医療費の「2割」が窓口での負担額となります。

では一般所得Ⅰの方の月にかかる医療費に対する特定医療費負担「2割」と「月額10000円」では、どっちが優先されるのか計算してみました。優先される方にマークが付いていますので参考にしてください。

月にかかる
医療費
特定医療費
2割 月額
1万 2,000円 10,000円
2万 4,000円 10,000円
3万 6,000円 10,000円
4万 8,000円 10,000円
5万 10,000円 10,000円
6万 12,000円 10,000円
7万 14,000円 10,000円
8万 16,000円 10,000円
9万 18,000円 10,000円
10万 20,000円 10,000円

これをみると一般所得Ⅰの方は、月にかかる医療費が5万円を境に医療費負担額は1万円となることがわかりますね。

医療費助成の給付対象となる場合

医療 介護
  • 診察
  • 薬剤の支給
  • 医学的処置、手術及びその他の治療
  • 病院又は診療所への入院及び
    その療養に伴う世話その他の看護
  • 居宅における療養上の管理及び
    その治療に伴う世話その他の看護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導
  • 介護療養施設サービス
  • 介護予防訪問看護
  • 介護予防訪問リハビリテーション
  • 介護予防居宅療養管理指導

医療費助成の給付対象にならない場合

  • 受給者証に記載された病名以外の病気やけがによる医療費
  • 医療保険が適用されない医療費(保険診療外の治療・調剤、差額ベッド代、個室料、入院時 の食事等)
  • 介護保険での訪問介護の費用
  • 医療機関・施設までの交通費、移送費
  • 補装具の作成費用や、はり、きゅう、あんま、マッサージの費用
  • 認定申請時などに提出した臨床調査個人票(診断書)の作成費用
  • 療養証明書の証明作成費用

おわりに

指定難病に24疾患が加わり、医療費助成を受けれるのは嬉しいことです。しかし、指定難病の定義に当てはまっていないだけで今も生活に支障をきたしている方が大勢います。

難病事業での財源が足りないのであれば、新たな税を導入するなど、難病で苦しんでいる全ての人が平等に医療費助成を受けることができる制度が必要だと思います。

関連記事 ALS患者や重度障害者などの入院中ヘルパー利用が解禁される

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