地域包括支援センターとは?業務内容や3職種の役割を徹底解説

公的介護保険

自分自身や家族に介護が必要になった時、まずどんな手続きや準備が必要なのか戸惑うものですよね。多くの人にとって「介護」とは縁遠い問題ですし、直面した時にはひとりひとり状況も違いわからないことも多いものです。

そうした介護に関する悩みをいちばん初めに相談できる場所として、地域ごとに設置されているのが地域包括支援センターです。

この支援センターとはどういうものなのか、悩みに答えアドバイスしてくれるのはどんな専門家なのか、具体的にはどのような業務を行っているのか、など詳しくお伝えしていきます。

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地域包括支援センターとは?

地域包括支援センターの目的と設置主体

地域包括支援センターは、地域に暮らしている人々の健康を保ち生活の安定を計ることによる、保険医療の向上と福祉の推進を設置目的としている施設です

中学校の各学区(おおむね人口2~3万人の範囲)を「日常生活圏域」として、1つのセンターが担当する形で設置されていることが多く、主に市町村などの自治体が設置主体となっています。

そのほか包括的支援事業を効率よく適切に行えると判断された法人に対して、自治体が業務を委託している場合もあります。

包括的支援事業に係る人員基準 介護予防支援の人員基準
◎第1号被保険者(65歳以上の高齢者)
3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人
◎次に掲げる職種のうちから「必要な数」
  • 保健師
  • 介護支援専門員
  • 社会福祉士
  • 経験のある看護師
  • 3年以上経験の社会福祉主事

包括的支援事業に関わる人員は、地域の65歳以上の高齢者3000人~6000人ごとに、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員など3職種を最低各1人ずつ配置すると定められていて、それに加えて介護予防支援に関わる人員には、経験のある看護師と3年以上の経験を持つ社会福祉主事を加えた5つの職種の中から必要な人員を確保するとされています。(規模の小さな自治体等には例外措置あり)

地域包括支援センターの業務内容

これらの専門家が行う地域包括支援センターの業務内容は以下の通りです。介護に関わるさまざまなことを横断的に支援します。

総合相談支援業務 住民の各種相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を実施し必要なサービスに繋ぎます。
介護予防ケアマネジメント業務 二次予防事業対象者(旧特定高齢者)に対する介護予防ケアプランの作成など
 包括的・継続的
ケアマネジメント支援業務
・「地域ケア会議」等を通じた自立支援型ケアマネジメントの支援
・ケアマネジャーへの日常的個別指導・相談
・支援困難事例等への指導・助言
 権利擁護業務 成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応など
在宅医療・介護連携 地域の医療・介護関係者による会議の開催、在宅医療・介護関係者の研修等を行い、在宅医療と介護サービスを一体的に提供する体制の構築を推進
認知症施策 初期集中支援チームの関与による認知症の早期診断・早期対応や、地域支援推進員による相談対応等を行い、認知症の人本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる地域の構築を推進
地域ケア会議 多職種協働による個別事例の検討等を行い、地域のネットワーク構築、ケアマネジメント支援、地域課題の把握等を推進
生活支援の充実・強化 生活支援コーディネーターの配置や協議体の設置等により、担い手やサービスの開発等を行い、高齢者の社会参加及び生活支援の充実を推進
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3職種の役割と業務

地域包括支援センターの「3職種」とは?

地域包括支援センターには、3つの職種の専門家が配置されています。

その3職種とは、「主任介護支援専門員(ケアマネジャー)」「保健師(または地域ケアの知識と経験を持つ看護師)」「社会福祉士(ソーシャルワーカー)」で、それぞれの専門性を生かした役割・業務を分担しながら、支援に向けた連携した対応が求められているため、1つのセンターにこれらの各専門家を置くことが定められています。

では、具体的に3職種の内容についてみていきましょう。

3職種の業務内容について

主任介護支援専門員

都道府県の認定資格である介護支援専門員の有資格者が、必要な研修を受けることで資格を得られる主任介護専門員は、主任ケアマネジャーとも呼ばれます。

介護支援専門員としての経験が通算5年以上あることなどが主任介護支援専門員の研修を受ける条件とされており、特に知識と経験がある介護の専門家といえます。

業務は大きく分けると「ケアマネジャーの支援や指導」「ケアマネジメントのネットワークづくり」の2つで、要介護・要支援認定に基づいたケアプランの作成をするケアマネジャーたちのまとめ役として、ケアプランへの助言や問題解決の支援を行ったり、スムーズに業務を行うことができるようサービス事業所や病院など関係機関との繋がりを築き、ボランティアや専門職などとの連携や調整も行います。

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保健師

要支援・要介護状態になる可能性が高い人に対して、運動機能の向上や栄養状態の改善、口腔機能向上などの教室を開催して、介護予防に役立つ情報の普及活動を行ったり、今後もできるだけ長く自立した生活ができるような「介護予防ケアマネジメント」を行います。

具体的には、機能の低下状態やその原因、戸別訪問などで把握した生活状況から、適した目標を設定して方法を提案、自主的に取り組めるように支援をしていきます。

地域包括支援センターで勤務する保健師は、介護支援相談員の資格が無い保健師でも、「要支援」の場合のみケアプランの作成が可能です。

 

社会福祉士

社会福祉士は国家資格で、社会福祉業務を行う専門家です。地域包括支援センターでは地域の福祉相談を引き受ける総合的な窓口としての役割があり、主に「権利擁護」と「総合相談」業務を行っています。

権利擁護とは判断能力の低下した高齢者の権利を守るための業務で、擁護対象者が認知症等で金銭の管理や契約などについて不安がある場合に「成年後見人制度」の申し立てにつなげるように支援を行ったり、訪問販売やリフォーム業者などによる消費者被害の防止高齢者に対する虐待防止などにも、各機関と情報を共有し連携して対応します。

例えば、虐待されている高齢者の状況を把握して施設等へ措置入所させたり、加害養護者への対応や立ち入り調査も行います。消費者被害防止では、悪質な業者について消費生活センターなどと情報交換を行い、必要な情報を高齢者と関わる職員に提供・共有するなどの対応を行っています。

総合相談では、生活についての幅広い相談に対応し、必要な制度や行政サービスへ繋げる役割をします。また、保健師と同様に地域包括支援センターに勤務している社会福祉士が「要支援」の人の介護予防ケアプランを作成する場合もあります。

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地域包括支援センターへ相談するには?

介護保険や認知症など幅広い相談が可能

地域包括支援センターでは、家族や自分自身の介護や生活に関する相談をはじめとして、地域の高齢者に関しての相談もすることができます。

例えば、介護サービスや介護保険についての相談、認知症による徘徊の捜索や防止策、見守りや訪問診療に関することなど、多くの担当課や機関を回る前に地域包括支援センターにまず相談してみましょう。

 

相談費用は無料!訪問は電話で予約がベスト

地域包括支援センターは地域ごとに設置されていて、市町村役場や区役所などに確認すると近くのセンターを教えてもらえるので、自分の居住地を担当しているセンターに相談します。

相談費用は無料で、いつでもセンターを訪ねて相談することができますが、担当者が席を外している場合もありますので、あらかじめどんなことについて相談したいかを電話で伝え予約をして行くと確実です。

また、訪問の際には聞きたいことの要点をメモしておくと良いでしょう。
現在の症状や状態、困っていることなどを箇条書きにしておくと相談員にもわかりやすく、具体的で適切なアドバイスを受けることができます。

全国の地域包括支援センターの一覧

各都道府県の地域包括支援センターの一覧は以下になります。

介護サービスを受けるまでの流れ

相談から「在宅介護」と「施設介護」を開始までの流れ

「在宅にて介護サービスを受けるまで」と「施設入所をするまで」の一般的な流れは、以下のようになります。

在宅介護を希望施設入所を希望

 

地域包括支援センターで介護について相談
センターを通して要介護・要支援の介護認定を申請する
約30日後に介護認定通知書が自宅に届く
介護認定が受理された場合、該当の介護サービスを受ける
居宅介護支援事業所を探す
(地域包括支援センターや市町村の介護福祉課などで、地域の事業所を教えてもらいます)
自分に合った事業所・ケアマネジャーと契約する
(複数の事業所に話を聞いて面談をするなどし、希望に合ったケアマネジャーを選びます)
ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
プランに合ったサービス事業所の紹介を受けて契約する
在宅で介護サービスを受ける

*要支援の場合は、地域包括支援センターのケアマネジャーなどがケアプランを担当しますが、委託により居宅介護支援事業所が作成する場合もあります。

 

地域包括支援センターで介護について相談
センターを通して要介護・要支援の介護認定を申請する
約30日後に介護認定通知書が自宅に届く
介護認定が受理された場合、該当の介護サービスを受ける
施設または各市町村の窓口に直接申し込みをする
(施設によっては入所審査や入所待ちがあります。)
入所が確定したら施設と契約をする
施設のケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
入所する

 

地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の違い

地域包括支援センターと居宅介護支援事業所との違いは、以下のようになります。

地域包括支援センター 居宅介護支援事業所
介護相談の他、高齢者を取り巻く幅広い問題に対応し、本人だけではなく地域住民からの高齢者に関する相談も受け付けてくれる 介護認定を受けた高齢者や家族に向けて、常駐するケアマネジャーがケアプランの作成をし、デイサービスや福祉用具の準備、家事援助などの介護サービスを受けるための事業所の紹介や必要な申請などを行ってくれる

つまり介護に関して、初めにさまざまな相談をし介護認定を受けるまでに関わるのが地域包括支援センターで、要介護認定を受けた後に介護サービスを受けるための具体的な手続きなどを行うのが居宅介護支援事業所(に常駐しているケアマネジャー)ということになります。

地域包括支援センターの相談員への苦情はここに言おう

自治体の保健福祉課などへ相談する

地域包括支援センターへ相談をした際の、「相談員の対応が悪かった」「必要な回答が得られなかった」といった苦情は、その地域包括支援センターのセンター長に申し入れ、改善や説明を求めるのが近道です。

しかし、直接言いづらい場合には、市役所・区役所・町役場の保健福祉課(介護や福祉に関する課で「高齢福祉課」など自治体により名称が異なります)や、その地域の各センターのまとめ役をしている基幹型の地域包括支援センターに相談します。

基幹型センターは、多くは市役所内などにある市町村の中心的な地域支援包括センターで、他センターの後方支援や調整を行っています。

介護保険に関する苦情についてはこちら

また、苦情の中でも介護認定の結果に不満や疑問がある場合は、区役所等の介護保険課に相談したり、介護保険審査会に不服の申し立てをすることもできます。
この介護保険審査会は中立・公平に判断を行う第三者機関で、各都道府県に設置されています。

他にも介護サービスの内容や、介護保険施設に関する苦情については、国民健康保険団体連合会(国保連)に相談すると、必要な調査を行った結果により、介護事業者や施設等に指導や改善の申し入れを行ってもらえます。

要チェック  全国の国民健康保険団体連合会一覧はこちら

地域包括支援センターの機能強化

2025年までに「地域包括ケアシステム」を実現

出典:厚生労働省

介護に関する国の対策は、厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の介護部会というところで話し合われているのですが、平成28年9月に行われた第68回介護部会の参考資料によると、今後加速していく高齢化社会に備えて、医療・介護・介護予防・生活支援・住環境などを、地域の病院や施設、団体などが連携して確保し高齢者を支えていく「地域包括ケアシステム」を2025年をメドに実現するとしています。

地域包括ケアシステムの目的は、「重度な要介護状態になっても、住み慣れた場所で最後まで暮らし続けられるようにすること」です。

この目的のために、市町村が主体となり個々の高齢者に対して包括的・継続的なケアマネジメントを実現していくことが求められていて、高齢者の必要に応じた、介護・介護予防サービス、在宅医療の支援、見守りなどの生活支援を提供し、いつでも対応が可能な体制を整えることが課題になっています。

 

地域ケア介護の開催

この実現に向けての具体的な手法に「地域ケア会議」というものがあります。
地域ケア会議の機能には以下の5つがあります。

  1. 高齢者の個々の問題を解決し、介護支援専門員のケアマネジメント力も高めること
  2. 医療や介護など、さまざまな職種の専門家が協力して働くことで、ネットワークを作ること
  3. 個別の問題の分析を積み重ねることで、地域に共通する問題や課題を明らかにして把握すること
  4. 課題の解決に必要な社会的な資源の開発と地域づくり
  5. 国や都道府県へ提案し政策の決定に役立ててもらうこと

地域ケア会議の参加者や規模は検討課題によって異なり、センターの職員のほかには外部助言者として歯科衛生士や理学療法士、管理栄養士などが加わったり、個々のケースによっては消費生活相談員や生活保護・障害福祉の担当者などが入る場合もあります。

1、2はおもに地域包括支援センターでの開催で個別課題を検討、3~5は地域の課題でおもに市町村等での開催になっています。地域での検討は個別の問題解決にフィードバックされて役立てられる仕組みになっています。

出典:厚生労働省

地域と連携して課題を解決する

地域が主体となる理由は、高齢化の進展やその特性も地域によって差があることです。

複数のセンターを有する地域では、その中で中心となって各センターとの調整や技術支援などを行う「基幹型センター」や、特定の分野を強化した「機能強化型センター」などを設置することで、地域の特性に沿った効果的な業務を行うことが可能になります。

また、急速に増加している認知症患者に対応して、「認知症の予防対策」「認知症サポーターの養成」など、認知症の理解を深め地域で支える取り組みなども、今後の課題となっていて、地域包括支援センターの役割はますます高まっています。

地域包括支援センターの設置状況

地域包括支援センターの設置数

全国の地域包括支援センターの数は4557か所で、ブランチ設置数は2312か所、サブセンター設置数は359か所で、合計7228か所となっています。

地域包括センター設置数 4,557
ブランチ設置数 2,312
サブセンター設置数 359
センター・ブランチ・サブセンター合計 7,228

直営・委託の割合と委託法人の構成割合

このうち直営が27.2%、72.2%が社会福祉法人、NPO法人、医療法人などへの委託となっています。

委託の割合が増加している一方、直営はH18年度の36.8%から年々減少しています。委託先の割合は社会福祉法人が54.9%と半数を超え、社会福祉協議会18.6%、医療法人16.9%のほか、社団法人や株式会社などが続いています。

出典:平成27年4月 厚生労働省の資料

直営のセンターには、市の方針や施策の内容が周知されていることや、権利擁護業務の際の措置権限の行使がスムーズであることなどのメリットがあり、委託のセンターには業務量に応じた人事異動が柔軟に行えること、夜間や休日の対応が可能なことなどのメリットがあります。

老人介護支援センター(在宅介護支援センター)とは?

「在宅介護支援センター」と「地域包括支援センター」の違い

在宅介護支援センターとは、地域包括支援センターと同じく介護に関する業務を行っているところになります。

「在宅介護支援センター」と「地域包括支援センター」の違いは、地域包括支援センターの方が、より幅広い対応が可能になっている点です。「在宅介護支援センター」とは通称で、法律的には「老人介護支援センター」と規定されている老人福祉法に基づいて設置されている施設です。

配置人員には、ソーシャルワーカー(社会福祉士等)保健師、看護師、介護福祉士、介護支援専門員のうち最低1名を置くこととされていて、社会福祉法人などに委託されている施設では老人介護支援センターの業務に支障のない範囲で、職員は他の業務との兼務も可能です。

老人介護支援センターの業務の内容

老人介護支援センターの業務内容は以下になります。

老人介護支援センターの業務の内容
  • 介護保険の申請代行(要介護認定、要介護認定の区分変更など)
  • 老人ホームなど施設の入所申し込み
  • 居宅サービス計画の作成依頼(変更)届け出の申請代行

しかし、2005年改正、2006年4月の介護保険法の施行にともなって、地域包括支援センターへの統合が進められ、これらの業務も移行されることとなりました。

その状況は各自治体によって違い、地域包括支援センターの設置されていないところでは、現在でも老人介護支援センターがその業務と役割を担っています。

まとめ

どんな人にもいずれは必要になってくる介護。地域に開かれている相談場所として、身近に地域包括支援センターという場所があることを知るだけでも、安心感がありますね。その時になって慌てないためにも一度気軽に足を運んで、介護の情報を得ておくのも良い準備になります。

また、ご近所に様子が気になる高齢者やその家族がいる場合には、センターにつなぐことで問題解決の力になってあげられることも。高齢化社会を安心して暮らしていけるように、地域包括支援センターを中心に、地域のみんなで協力しあっていきたいものです。

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